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2012/08/29
U-20女子ワールドカップ ジャパン 2012 予選リーグ観戦
セレッソ大阪のソアレス監督が成績不振を理由に電撃解任され、しかも後任にクルピ監督が再登板するという未曾有の大事件に世界中が震撼した8/26の日曜日に、U-20女子ワールドカップ ジャパン 2012 の予選リーグ、ブラジルVS韓国戦と、日本VSスイス戦を見に国立競技場へ行って来ました。
ちなみに私が買った席はバックネット裏の一番安い席で、グループリーグの試合なのでなんと1000円でした(しかも2試合見られる)。
ブラジルVS韓国戦は16:20にはじまったので観客は少なかったのですが、ホーム側の席がブラジル側だったこともあって、ほとんどの人がブラジルを応援していて、ブラジルホームのような雰囲気でした。まあ、そりゃそうでしょうね。
残念ながら、試合そのものはレベルが非常に低く、前半途中で少し寝てしまいました。
どちらも前へ蹴って、一生懸命走っていくだけの芸のないサッカーで、韓国もたいしたことなかったけれど、それ以上にブラジルがひどすぎでした。それでも韓国が2点目を決めた後、客席では結構大きなブラジルコールが起こっていました。
で、つまらない前座が終了して、いよいよ19:30よりメインイベントの日本VSスイス。
この試合だけ見に来る観客が多いこともあって、スタジアムの雰囲気が代表選モードに様変わり。
試合は、テレビ中継を見ていた人ならご存知かと思いますが、日本の攻撃が本当に多彩でむちゃくちゃおもしろかったです。
時間帯によってはそれこそ「バルセロナか!?」みたいなパス回しもあり、左からも右からもピッチを広く使って攻撃するし、ミドルシュートもあり、田中陽子のFK2発もありで、90分間本当に退屈しませんでした。
特に田中陽子は守備にも攻撃にもずっと顔を出していて、たぶんテレビで映っていないであろう場面でもずっと動き続けていました。すごい選手だ。
試合終了後は、客席からスイスコールも起こり、スイス代表の選手が観客と握手したり、監督がユニフォーム交換したり(客席で見ていた時は「だれだこのおっさん?」と思っていたのですが、まさか監督だったとは)と、ワールドカップならではの場面も見られました。
次は韓国戦。実力的には雲泥の差で日本のほうが上だと思うのですが、ニュージーランド戦の時のように、ちょっとしたスキをつかれればやられてしまうのがサッカーですので、足元をすくわれないように手堅く勝って欲しいなあと思う次第です。
試合は木曜日。平日の夜なので見に行けるかどうかまだ微妙なのですが、できたら見に行きたいと思っています。
20歳以下の、しかも女子の試合だからといって馬鹿にして見ていない人も、一度見てみたらいいと思います。試合のエンタメ性という点でいうなら、ヨーロッパのサッカーや、男子の日本代表より見ていておもしろいぐらいですから。
2012/08/22
映画「アベンジャーズ」
映画「アベンジャーズ」を見てきました。
この映画はマーベル・コミックのヒーローが勢揃いするお祭り映画ですので、それぞれのキャラのオリジナル映画をあらかじめ見ていたほうが楽しめるのは確かなのですが、
別に見ていなくても大丈夫です。私も一つも見ていませんでした。
この映画を少しでも「おもしろそう」と思ったら見たらいいと思います。
確かに元になる映画を何作か見ていないとストーリーや登場人物の人間関係がわかりにくいところもあるんですが、よくわからないところは寝ておけばいいんです。
私は中盤辺りで(いつものごとく)10〜20分ぐらい寝て過ごしましたが、ヒーローが勢揃いして敵と戦うクライマックスは問題なく楽しめました。
ようはウルトラマンといっしょです。
迫力のある戦闘シーンが見たければ、期待を裏切らないできですので、映画館で見る値打ちがある映画と言えましょう。
2012/08/17
阿佐ヶ谷ロフトA「三国志ナイト」より武将ランキングベスト15 その3
前回のつづき、これで最後です。
「歴史人」編集部主催の「三国志ナイト」より、三国志人気武将ランキングベスト15、いよいよベスト5です。
前回同様、順位と渡邉先生のコメントの一部抜粋(赤文字)の下に、私の個人的なコメントもつけておきます。
5位 夏侯惇
渡邉「あんまり強くないんですよね、この人。
いっぱい捕虜とか捕まっていますし、前線に出ないで兵糧を守ることばっかりですから、基本的にあんまり戦う人ではないですから。
演技の猛将のイメージからは大分遠いんですけれど、曹操が最も信頼したのは間違いない。この人だけが曹操の寝室に入ることが許された唯一の人、そういう人ですね。
後ろで頑張る人が一番重要な人なので、この人がいないと戦えなくなっちゃうっていうことですね。金庫番です。「盲夏侯(もうかこう)」って言われて嫌がるんですよ。で、鏡をみて鏡を投げ捨てるっていう。
5位に夏侯惇っていうのは個人的に理解に苦しむところではあります。全然重要な戦いで活躍したイメージがないのですが、そういう漫画や小説があるのでしょうか。
この人を選ぶぐらいなら、他に曹操配下なら、許褚なり典韋なり、張郃なりいくらでももっといいのがいるのに、と思ってしまいました。
4位 曹操
渡邉「やっていることが先進的すぎるので、周りの人はわからないと思いますよ。
男としてそばにいたら、たぶんついていけないというか、なにを考えているのか全然わからないっていうそういう怖さのある人だと思いますね。
文学的な才能もすごくありますし、兵家として孫子の注釈をつけてこの人の注で結局今も読んでいるわけだし、なんでもできるんですよ。僕すごい嫌いなんですけれど(笑)、許せないよね。これがいるから諸葛亮がかわいそうな目にあってるわけで。
この人がいないと中国史が変わっちゃうんですよね。それぐらい先進的で。諸葛亮がいなくても中国史は変わらないんですけど、曹操がいないと下手すると中国の形が変わってしまう、そういう歴史的重みのある人で、すごい嫌いなんですね。
歴代の君主がこの曹操の才能をみんな誉めるんですけれど、曹操に敵う人って少ないですよね」
最近の流行りでいうと、この人が一位じゃないかと思っていましたので、この順位は少し意外。
この人がこの時代トップクラスの英雄、才人なのに異論はないのですが、あんまりにも誉められすぎていたので、あえて悪口を言います(笑)。
結局、あれだけ圧倒的に有利な立場にありながら天下統一できなかった。それどころか、息子やその子孫の代ですらそれができなかった。あまつさえ、子孫は自分が登用した家臣にクーデターをおこされて国を乗っ取られてしまっている。
これ、ダメすぎるでしょう。
時代によって環境は違うにせよ、中国を統一した君主はいくらでもいるわけですから、それらと比べると、君主としてはしょせん地方政権のトップ程度ってことです。
結果的にクーデターを起こしたので司馬懿は野心家だったということになっていますが、劉備と諸葛亮の関係と比べると、司馬懿を自分の死後も裏切らないように心服させられなかった曹操にも責任がないとはいえないのではないでしょうか。
あと、曹操は詩人としてもすごい!というのもその当時はそうだったかもしれませんが、中国文学史の本を読んでもよほど詳しいものでない限り、曹操についての項目は、一言かせいぜい数行。それも作品そのものではなく、権力者として文学や文学者をどう扱ったか、という点で語られることが多くて、全くふれられていないことだってあるぐらいです。
同じ文学的才能で定評がある歴代皇帝でいうと、南唐の李煜(りいく)なんかが、文学者として文学史上欠かせない存在である(そのかわり、君主としてはまあ、あれですが)のと比べると、その方面でも中国史上そこまで圧倒的にすごいわけでもありません。
3位 諸葛亮
渡邉「撤退する時に兵を痛めていないんですよ。負け上手。普通はプロの戦いの人って前向いて戦っている時ってそんなに死なないんですよ。全滅しちゃうのって引いていて後ろから攻められちゃうんですよ」
渡邉先生のナンバーワンがこの人。イベント中、諸葛亮推しの名言が続出でした。
昔は日本での諸葛亮の人気は圧倒的だったのですが、今はそこまでではなくなってきているようです。
初めて三国志(演義)を読んだ時は、この人が関羽のピンチに助けにいかなかったり、夷陵の戦いについていかなかったりしたのが理解できませんでした。あの時、お前が行ってれば、その後の蜀ももうちょっと何とかなったかもしれないのに。
妖術を使うなら、ここだろ!と。
ともあれ、三国志がこんなにおもしろくなったのが、この人(と肝心なところで勝ちきれなかった曹操の間抜けさ)によるところ大なのは確かでしょう。
三顧の礼や出師の表など、キーワードを聞くだけでわくわくします。
2位 趙雲
渡邉「趙雲列伝っていう本があって、それが裴松之の注をひかれていて、趙雲すげーぜっていうのは全部趙雲列伝なんですよ。で、そのなんとか列伝っていうのは資料的にそんなに正しくなくて、東晋の時に著作郎っていう歴史家見習いみたいな人が夏休みの宿題で書くみたいなのが列伝なんですね。
書けと言われて、何も仕事していないと怒られるので一年に一個書かないといけないんですね。それでよく書くなんとか列伝というものなので、資料的には正しくないんですよ。だから正史には全然良く書かれていないし、よく書いているのは全部裴松之のなんとか列伝。
陳寿が(漢楚の戦いの)夏侯嬰と同じで、おそらく家督を守る親衛隊長みたいなの、それが実態だと思いますね」
自分が嫌いな武将ナンバーワンがこいつです。
漫画にしろドラマにしろ美形の若武者風に描かれることが多いこともあって(そんな歴史的事実はどこにもないはずなのですが)、昔から周りにもこいつを一番好きな人が多かったのですが、張遼の時に言ったことを繰り返しますが、確かに強くて賢くて、冷静沈着で信用もできて頼りになりますし、ゲームで使う時は重宝するキャラではありますが、そんな完璧でつまらない人、なにがいいんでしょうか?
それにさぞすごく強いように描かれることが多いですけれど、よくよく冷静に彼のしてきたことを見てみると、重要な場面で重要な戦果を上げた実績ってほとんどないんですよね。
ですので、渡邉先生のコメントを聞いてすごく納得しました。
1位 関羽
渡邉「知識人に対してコンプレックスがあるんですよね。
階層が一番下でしょ?張飛とか関羽とか。張飛はイメージを損なわないんですけれど、士大夫達、僕の言葉でいうと名士たちに媚びへつらうんですよね。
関羽は逆に春秋左氏伝なんかの勉強も一生懸命やって、対抗していくんだけれどやっぱり勉強ってそんなに簡単に身につかないんでどうしてもコンプレックスになって知識人との仲が悪いんですよね。
だから支配地域が安定しないんです。それをきれいに呂蒙に突かれた。陳寿なんかはそういう評をつけて関羽に対して冷淡ですね。
(関羽が神になったのは)ひとえに出身地なんですね。河東・解県(山西省)、そこに中国最大のソルトレイク(塩湖)があって、そこの神様になっていくのが、関羽がえらくなっていくお話とかかわっているんですね」
ものすごく意外な一位でした。関羽が一番好きっていう人、あまり聞かないんですけれどね。
自分は関羽はまあまあ好きな方なんですが、それでも悪口を言うと、この人とは友達付き合いするならともかく、同僚としていっしょに仕事したくないですね。
君主にはとても忠実かもしれないけれど、自分の能力が高いのを鼻にかけて傲慢で、部下や同僚にたいして偉そうで、小さなミスも許さず厳しく追求しそうなイメージ。まあ、職場で孤立するタイプですね(笑)。
諸葛亮登場以後はインテリ的役割を彼に奪われて、目に見えて不機嫌になっている様子が目に浮かぶようで、そりゃ孟達やら傅士仁やら麋芳やらの、いかにも普段軽く見られてそうな連中に、そろいもそろって裏切られるのも納得です。
まあ、そういう人間臭い欠点と強さや義理堅さとのギャップがあるから私は好きなんですが、それにしても一位はないよなあ。
というわけで、以上、三国志人気武将ランキングベスト15でした。
自分の好きな武将で言うと、龐統や陳宮なんかが入っていないのはしかたないかなと思うのですが、司馬懿がないのは残念でした。彼も賈詡同様、途中で殺されずに生を全うしたのが奇跡的なぐらい、ギリギリの危ういポジションを上手く乗り切ったすごい人物なんですけれどねえ。
今回書いていて思ったのですが、自分はどうもオールマイティな人間が嫌いみたいで、そういう人物には点が辛くなるみたいです。これはルサンチマンってやつですかね。逆に欠点があっても異能や特技を生かし、生き抜いていく人物が好きで、「水滸伝」に嫌いな人物がほとんどいないのは、このためなのかもしれません。
2012/08/15
阿佐ヶ谷ロフトA「三国志ナイト」より武将ランキングベスト15 その2
三国志ナイトのプログラムです |
前回のつづきです。
「歴史人」編集部主催の「三国志ナイト」より、三国志人気武将ランキングベスト15の10位からです。
その前にちょっと余談です。
別の三国志イベントでもちょっと気になったんですけれど、「劉備玄徳」とか「趙雲子龍」みたいに姓・名・字(あざな)を並べて「これが正式名称」みたいな感じで呼んでいる人が少なからずいました。これ、記述ならともかく、呼称としては、明確に誤りです。
詳しくはどこにでも載っていると思うので省略しますが、「劉備」のように「姓・名」か、「劉玄徳」のように「姓・字(あざな)」か、「姓・役職名」でないとおかしいです。
中国ドラマの「三国志 Three Kingdoms」でも、中国語音声で聞いたらちゃんと人間関係によってそこらへんは使い分けていますが、「姓・名・字(あざな)」で相手を呼んだりすることはないはずです。
無理やり日本で言うと、「田中将大」、「田中選手」、「田中マーくん」、「マーくん」はありでも、「田中将大マーくん」と言わないように、「三浦知良」、「三浦選手」、「三浦カズ」「カズ」はありでも「三浦知良カズ」とは言わない、みたいな感じでしょうか。
閑話休題。
それではランキングを10位より。前回同様、順位と渡邉先生のコメントの一部抜粋(赤文字)の下に、私の個人的なコメントもつけておきます。
10位 賈詡
渡邉「僕はお友達になりたくないな(笑)
ものすごい切れる人なんでしょうね頭が。
だから曹操の配下に入った後、お友達とつきあいしないんですねこの人。もともとの家臣じゃないじゃないですか、それにもかかわらず曹操の謀略っていう一番汚いところを扱いますよね。
だから自分が勝手に親しく人と仲良くなって受け入れると、かならず曹操に疑われて殺されてしまうので、もうずっとひとりぼっち。
公安担当っていう人がいて、項羽と劉邦の時には陳平っていうのがいるんですけど、あれが人格破綻者で、項羽と范増の間を裂いてってそういうことをするんですけれど、そういう担当ですよね。
だからお友達にはなりたくないし、お友達になってもくれない」
賈詡のこの順位は健闘といってもいいのではないでしょうか。私も大好きです。三国志の魅力の一つが謀略戦にあると思うのですが、まさに謀略の申し子のような人物がこの賈詡です。
司馬懿もそうなのですが、他人から恐れられ、嫌われる役回りでありながら(しかも賈詡の場合は過去に主君を何度も変えています)、最後まで君主に警戒されて殺されることもなく生を全うしたところを見ても、彼の能力の高さがうかがえると思います。
9位 荀彧
渡邉「苦しかったと思いますけどね。結構、「漢」っていうものと曹操との間で揺れ動いた人だったと思いますね。だから諸葛孔明みたいに最初からずっと漢のために生きて漢のために死んでいくのはすごく幸せだったと思うんですけど、荀彧はなんだかかわいそうで」
個人的には程昱のほうが好きですが、それはともかく。
「三国志演義」では、「二虎競食の計」や「駆虎呑狼の計」など聞いただけでもワクワクするようなかっこいい計略(しかも日常生活でも使えてとっても実用的)を曹操に献策したのがこの人。
最初はブレーンとして曹操と二人三脚でやっていたのに、最後は悲しい結末、とドラマ性も充分で人気があるのも納得です。
8位 張飛
渡邉「現在でも三国志で一番愛されているのは張飛、尊敬されているのが関羽なんですね。だから完全に役割がわかれている。(中国で)「一緒に酒を飲みたいランキング」なんていうランキングをとったことがあって、それで堂々一位に」
自分の場合、張飛は昔はそれほど好きではなかったけれど、年とともにだんだん好きになってきたキャラクターです。
「三国志演義」の方で言うと、主人公に思慮深い聖人君子タイプの劉備をおく以上、彼のような馬鹿な暴れん坊の道化もセットでおいておくのは、物語の構成上、必要不可欠なんです。
なぜかというと、劉備はどんな理不尽な目にあっても、(キャラの設定上)だまって耐えて、おとなしくしているしかないので、読んでいる方としてはストレスがたまる。そこで張飛の出番になるのです。彼が読者を代弁して大暴れするから、読者は読んでいてスカッとするんです。
(この道化キャラを配置するパターンは、「水滸伝」における、梁山泊の首領の宋江と黒旋風の李逵の関係性と似ています。こういう中国の小説に出てくる伝統的な道化(トリックスター)については、井波律子の以下の本に詳しいです)
7位 張遼
渡邉「曹操の信頼がすごい厚いんですよ。曹操の時って、軍が一万人を超えるんですけれど一軍が3200人なんですね。例えば于禁が関羽に攻められて曹操が助けに行った時、七軍を率いているんですけれど、あれで21000人なんです。
だから一万人を超える兵力っていうのを曹操が生きている間に率いていたのは夏侯さんと曹さんしかいないんですよ。で。この人だけなんですよ都督として万を超える兵力を任されてる人って。そういう意味でものすごい曹操の信頼が厚い人だし、それから後は三国志演義って魏の武将は悪く書かれるんですけれど、関羽と仲がいいっていうので良く書かれている珍しい武将ですね」
まさか張遼が7位とは。確かに強くて賢くて、冷静沈着で信用もできて頼りになりますし、ゲームで使う時は重宝するキャラではありますが、そんな人、なにがおもしろいんでしょうか?
というわけでちょっとこの順位は不満ですね。
6位 姜維
渡邉「最後がかっこいいですよね。敵と手を組んでまで最後まで戦って、結局殺されて胸を裂かれて、ものすごく肝が大きかったというのが正史に書かれていますよね」
三国志演義やそれに比較的忠実な各種作品を見たり読んだりすれば、終盤、唯一輝いている新キャラでしたから、姜維ファンになるのもすごくわかりますし、逆に正史をかじって、ちょっと上から目線で演義のファンを批判したがるような人でしたら(嫌味な書き方ですが、こういう人、本当に多いんです)、諸葛亮とともに真っ先に批判したくなるのがこの姜維です。
あえて姜維を擁護するなら、あの時代、あの状況、彼の立場で、いったいあれ以上なにができたのか?といったところでしょうか。三国志でかっこいい死に方をしているメインキャラって、意外と少ないだけに、彼のかっこいい最期は評価したいところです。
というわけで、まだつづきます。
2012/08/14
阿佐ヶ谷ロフトA「三国志ナイト」より武将ランキングベスト15 その1
三国志ナイトオリジナルメニュー |
時間がだいぶたってしまいましたが、6月6日に阿佐ヶ谷ロフトAにて実施された歴史雑誌「歴史人」編集部主催の「三国志ナイト」へ行ってきました。
出演者は三国志研究の第一人者である渡邉義浩教授、エレキコミックのやついいちろうさん、歴ドルで三国志検定1級合格の小日向えりさん、という豪華メンバーです(公式サイトより)。
3時間半にわたる長いイベントだったのですが、イベント中に、ちょうどこの日、第4回「AKB48選抜総選挙」があった裏で、この手のイベントの定番とも言える三国志人気武将ランキングの発表も行なわれました。
(ちなみにこのランキングは会場での投票ではなく、「歴史人」という雑誌の「歴史人クラブ会員(ネット会員)」100人の投票から事前に選出されたランキングです)
今回はこのランキングと、渡邉先生のコメントの一部を抜粋して紹介します(本当は、やついいちろうさんや小日向えりさんもいっしょにいろいろ話していたのを、渡邉先生のコメント部分のみ抜粋しているので、前後のつながりがおかしくなっていることもありますがご了承ください)。
せっかくですので、順位と渡邉先生のコメント(赤文字)の下に、私の個人的なコメントもつけておきます。
15位 劉備
渡邉「僕はともかく、今の現代中国ではあんまり人気が無いです。現代中国人は前に出よう前に出ようとしているので、こういう人はあまり好かれていないです。
それほど高い評価はされていないというか、前近代の中国では理想的な君主の典型的な人物で、君主とはこうでなければいけないというお手本のような人だったんですが、今はあまり目標となるような人ではない。そんな人になっていると思いますけれどね」
以前、成君憶「水煮三国志」という三国志を元にしたビジネス本の翻訳を読んだ時、著者は曹操より劉備の方を褒めていたので、今の中国の人もそうなのかなと思っていたのですが、そうでもないんですね。
15位という順位が高いのか低いのかよくわかりませんが、もっと上にきても良かったような。
自分は曹操よりだんぜん劉備の方が好きです。
大人になって、社会のいろいろなことを知るほどに、劉備の処世術や人心掌握術、忍耐力や、不屈の精神、そして時に愚かな人間味などの凄みを実感しています。
だいたい曹操とスタート時点で条件面で雲泥の差なのを、徒手空拳で彼の対抗勢力になるところまで挽回できたのですから、すごいの一言です(加藤徹先生曰く「劉備はフリーターや派遣社員の星」だそうです)。
知れば知るほど味のある人だと思います。
14位(同率三人) 周瑜 孫策 呂蒙
周瑜
渡邉「水戦で戦うとこの人が一番強いですね。戦い方は陸と川とでは全く違うので、川なんかで戦わせると、この人が率いる丹陽兵(たんようへい)、あの辺の海沿いの水兵さん達が海での戦いに向いているんで、そこが呉の強みなんですね」
周瑜は最近の映画やドラマでもかっこよくとりあげられているので、もっと高いかな?と思ったけれどこの順位。
正史がどうあれ、彼がかっこよくて優秀であるから余計に、演義での諸葛亮の道化役がピタリとはまったんだと思います。そういう意味で演義の作者はすばらしいです。
孫策
渡邉「国内の政治をやっていく時に、(地元を)ほとんど力でふみつぶしちゃったんで。
具体的には呉っていうところと会稽ってところのこの2つが政権の基盤なんですけれど、その会稽の四姓(孔、魏、虞、謝)って孫策が根絶やしにしちゃったんですね。孫権とよくやりあっていた虞翻はその生き残りで。
戦いは強いと思いますよ、だって董卓を破っていますしね。
孫策とお父さんの孫堅は強いですね。ちょうど官渡の戦いの時、曹操の背後を襲って都を突こうとしたんですけれど、(結局その前に死んでしまって実現しなかったので)曹操としてはラッキーだったといえます。
袁術が強かったのもひとえに孫策がいたからですから。
(小覇王という呼び名について)覇王っていうのは項羽なんですね。項羽が武力だけに頼って劉邦に敗れてしまうわけで、それが「小覇王」っていうのは「小」っていうのは中国人からしたら馬鹿にしている意味で、「小覇王」っていうのは項羽にも劣る奴という意味であって、向こうの人からすると非常に評価が低いことがわかりますね」
この人ももっと上位でも不思議ではない人気の出そうなキャラですね。
でも別のイベントで加藤徹先生もおっしゃっていたのですが、大将たるもの、あまり自分が前に出て戦うようではダメだと思います。そこらへんも悪い意味で項羽に似ているのかも。
早死していなければ歴史が変わったのに、と惜しまれる人ですが、こんな性格だと遅かれ早かれ前線で命を失っていたような気がしないでもありません。
呂蒙
(渡邉先生は、特にコメント無し)
何でこの人がこの順位?とは思いますが、投票の母集団が雑誌のネット会員100人程度と決して多くはない上に偏っているので、たまにこういうことがおこるのかも知れません。わざわざ彼を選んで好きになる理由がよくわかりません。
もしかしたら呂蒙がかっこよく描かれている漫画かドラマなんかが最近あったのかな?
11位 呂布
渡邉「中国古典小説でもこの人はすごく人気で、才子佳人小説っていうんですけれど、かっこいい男性と綺麗な女性の話でよくでてくるんですよ。最近のドラマでも二人の話でひっぱるんですけれど、これは伝統なんですよね。
当時は一騎打ちっていうのはなかったんですよ。だから呂布がいくら個人で強いっていうふうにいっても、一騎打ちがないから基本的に関係ないんですけれど、彼が率いていた兵種っていうのが騎兵なんですね。
で、普通歩兵を率いている場合は率いている人が前にでて戦うことはないんですけれど、騎兵っていうのは自ら軍を率いて自分も戦うんですね。
だから圧倒的な武勇っていうのが必要になってくるんで、だから呂布の強さっていうのは赤兎にささえられているわけで、馬に乗っかっているっていうのが呂布の強さをささえるんです。
それが「人中に呂布有り、馬中に赤兎あり」っていう有名な言葉になっているだけです。だから呂布は騎兵を率いさせると圧倒的に強いです」
呂布ももっと上でも不思議ではないのですが、意外に伸びませんでしたね。それにしても一騎打ちがなかったというのは夢のない話です。
強くて、ちょっと馬鹿で節操はないけれど、一途なとてもわかりやすいキャラクターで、とても魅力的だと思います。中国人は今でも「すごく優秀だけれど、信用出来ない人間」の例えとして呂布の名前を出すことがあります。
長くなったので、次回へ続きます。
2012/08/12
白岩松「岩松看日本」(中国語原書)
中国語の原書の紹介です。アマゾンでは買えないみたいです。大陸の本ですので簡体字、横書きです。
題名の意味は「岩松が日本を見る」です。そのままですね。
著者は白岩松。れっきとした中国人です。岩松というのは苗字ではなくて名前なんですね。中国中央電視台の有名なニュースキャスターみたいです。
彼のプロフィールをネットで調べてみると、彼はかなりのサッカーファンだそうで、なかでもアルゼンチンのバティストゥータ(なつかしいですね。1998年のフランスワールドカップで日本からゴールを奪った人です)の大ファンで、彼の子供を「小バティ」と呼んでいたほどだったそうですが、それは本書とは何の関係もありません。
本書の内容はそんなニュースキャスターの白岩松が、日本に長期滞在して日本のさまざまな場所を見たり、インタビューした時の様子をまとめたもので、日本人が読んでも興味深い本ではないかと思います。
奥付を見ると、初版が2007年9月となっていて、約5年前の本ですので、安倍元首相の奥さんにもインタビューしています(安倍さんって、ずいぶん昔の人みたいだけれど、たった5年前だったのか)。
他にも結構大物がインタビューに答えているので、お得感があります。
例をあげると、渡辺恒雄、渡辺淳一、村上龍、大坪文雄(パナソニックの会長)、谷村新司、栗原小巻、安倍昭恵(安倍首相夫人(当時))、浜崎あゆみ、中曽根康弘、御手洗冨士夫(当時キャノン会長)などなど。すごいメンツです。
正直、これらのインタビューはどれもお御行儀よく日中友好の話をしているだけなので、ヌルくてそれほどおもしろくないのですが、白岩松が実際に日本全国を見て回って、それに対してどのように感じたかを書いている部分はなかなか読み応えがありました。
白岩松とその一行は、靖国神社と、立命館大学国際平和ミュージアムという戦争に対する見方の両極端なところを両方訪問します。
彼らは前者を見て怒り、後者を見て日本の良心を感じて安心したりしているのですが、一応彼もジャーナリストならそういう思想の多様性が認められている日本と、そうでない中国との差について考えてもよさそうなものですが、こと戦争の話に関しては中国の公式見解そのままの反応しかしていないのは、立場上仕方ないこととはいえ興醒めでした。
それ以外の大相撲や落語、漫画やゴミの分別など日本の文化、習慣、制度について縦横に語っている政治的な部分以外は独特の視点がおもしろかったです。
例えば、漫画がここまで日本で受け入れられたのは、日本社会があまりにもストレス社会であるため、息抜きとして皆が漫画を求めたのではないか、というような説も中国人が日本人をどう見ているかがわかって興味深かったです。
なによりおもしろいのは、もっとなにげないディティールです。
例えば、この本には滞在中、晩ご飯をどこでなにを食べたかまで書いてあるのですが、ワタミや漁民などチェーン系居酒屋がやけに多かったり、帰りの空港で、おみやげを買いすぎて、重量オーバーになってチャージが航空券なみにかかりそうになって、泣く泣くもらったお米を持って帰るのを諦めたり、などなど。
中国語もそれほど難しくありませんし、日本人なら基礎知識がある状態で読めますので、初めて原書に挑戦しようという人にもオススメです。というか、私の初めて読みきった原書がこれでした。
成増が日本で最も熱く燃えた夜「成増阿波おどり大会2012」
今年の8月2日、あの有名な成増阿波おどり大会が開催されました。
成増とはみなさんご存知のとおり、東京都板橋区の町で、最寄り駅は東武東上線の「成増」と、有楽町線、副都心線の「地下鉄成増」になります。池袋へは東武東上線の急行を使えば10分程度というアクセスの良さが魅力です。
どうして成増で阿波踊りなのかよくわかりませんが、細かいことは気にしません。それが成増魂(なりますスピリッツ)です。
ちなみに説明は不要かもしれませんが、この写真を撮った商店街の名前は別名「成増スキップ村」と呼びます。抜群のセンスです。
あの極真カラテも参加。阿波踊りではなく、正拳突きをしながら行進していきました。マイペースです。成増の懐の深さがうかがえる一幕ですね。
関係ありませんが、成増は東武東上線の成増駅の駅前に成増図書館やハローワークの出張所などがあって便利ですので、無職の方にもオススメです。
今年の8月2日は木曜日。週末ではなく、平日開催にしたのはおそらく他の地域のお祭とかぶると、人が集まらないだろうという配慮かと思われます。
この奥ゆかしさこそ、成増の魅力です。
以上、現地成増よりレポートでした。
2012/08/11
埼玉県立近代美術館「ウルトラマンアート展」
北浦和駅 |
特撮博物館と行った日時は前後するのですが、先日、埼玉県立近代美術館「ウルトラマンアート展」へ行ってきました。主にウルトラマンとウルトラセブンメインの展示です。
埼玉県立近代美術館 |
埼玉県立近代美術館は北浦和駅から徒歩五分ぐらいの公園の中にあって、なかなか立派な美術館でした。
バルタン星人 |
マグラー |
ウルトラマン |
ヴィラ星人 |
ウルトラセブン |
メトロン星人 |
撮影可能場所はここまでで、ここからさきは撮影不可の資料展示でした。
開催期間は2012年7月7日(土)~2012年9月2日(日)、時間は10:00~17:30(最終入場 17:00)で休館日が月曜日となっています。
この展示は全国を巡業していて、残すところこの埼玉と、高松市美術館のみとなりましたので、興味のある方は、夏休みを利用して見に行ってみてはいかがでしょうか。
(この展示に関する、個人ブログ記事)
ウルトラマン・アート展 (オタクな一口馬主)
2012/08/10
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 3
前回の続き。これで最後です。
これは、特撮博物館の庵野館長の記者会見の動画です。
動画だと見る時間がない人や、面倒で見ない人もいるかと思いますが、とてもいいスピーチでしたので、それはもったいないと思い、記者会見の一部を文字起こししました。
庵野「さっき鈴木さんがおっしゃってましたけど、元々、特撮という僕が大好きだったものが、いま、正直消えつつあると。多分このまま消えると思います。これはもう仕方がないし、そういうもんだと思うんですけど。
でも、こういうものがあったっていうのは世に残しておきたいんですね。
僕がいなくなったあとも、いまの人がいなくなったあとも、いま生きている人が皆いなくなっても、これは残しておきたい。
もう可能な限り残したいんです。その願いのこれは第一歩でしかないんですよ。この先には国でも地方でも、どっかの企業でも、ちょっとお金に余裕があってこの趣旨に賛同してくれる団体があったら、常設的な特撮の展示が理想ですけど、それが無理でも特撮のミニチュアの保存とかそういうものをちゃんとやってくれる所があればなと。これはもう切にそう思っています。
ミニチュアだけではなく、いろんな技術の継承というのも続けていきたいんですけど、これはもう、僕個人の力でも如何ともし難いものなので。
ただ、特撮が持ってた映像とその面白さとその技術というものは、もっともっと世の中に残っても良いし、広がっても良いし、なんて言うんですかね、もっと好きな人がこういう所に来てくれても良いんじゃないかなと、まあ本当に思ってます。
特撮というものが、基本的にいまのやつだとCGになっちゃうんで、どうしても昭和がメインになってしまいますけど、いまの子供達が生まれる前、いまの僕らくらいの大人が子供の頃に見ていたもの。
鈴木さんくらいの団塊の世代がギリギリ味わっていた面白さみたいなものを、可能な限り、まあいろんな制約があってできないこともあるんですが、本当にできる限りのお金と時間を使って、あとは色んな想いですね。
本当に良いスタッフの方が集まってくれて、良い展示になっていってると思います。
展示内容も本当に、いまこれができるのかというくらいギュッとつまったものになってると思いますので、とにかくそこにあるものを見ていただかないと、多分その良さというのは伝わらないと思うんですよね。
こうして映像になった瞬間から、それはただの映像なので。そこにあるものじゃないんですよね。もう二次的なものですから。そういうものじゃなく、そこにあるものをまず見て欲しい。
可能な限り触れて欲しい。触れるのは色々問題なんでなかなか触れてもらえないんですけど、この(ミニチュアの)東京タワーも鈑金なんですよね。
カンカンて音がするんですよ。FRP(繊維強化プラスチック)とかじゃないんですよ。そういう面白さとかですね。
ここ(東京タワー)の下の(模型の)ビルもカンカンなんですよ。板とかじゃないんです。そういう鈑金の技術とかですね。
そういう今は失われつつあるそんな凄いものというのを、できる限り色んな人に見て欲しいと思います。
で、なんか良いなと思った人はそういうのを続けてくれれば良いなと思います。
特撮というのは国にはあまり認めてもらえてなくて、ちょっと文化庁の方にも話をしたことがあるんですけど、縁があって。
文化庁から見ればどうもこういうものはゴミらしいんですね。残す気はないと。お金は出さない。というのを言われてました。
でも現代美術館で展示するってことは、それはもう美術品ですから。これは美術品だと言い切るぐらいのハクを付けてですね、是非国のほうもこういうものを、アニメばかりじゃなくてですね、ゲームばっかりじゃなくてですね、こういう特撮、もう失われつつあるものに関しても少しは気と、お金といったものを回してほしいなと、これも切に思います」
以上です。
特撮博物館に関するオススメリンク集
(公式サイト)
東京都現代美術館 「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技
(週刊アス+PLUSの紹介記事)
リアル巨神兵が東京を襲撃!?『館長 庵野秀明 特撮博物館』開催決定【追記あり】
庵野監督が館長を務める『特撮博物館』はマジ鼻血モンだった
(特撮博物館に関する、個人のブログ記事など)
館長庵野秀明・特撮博物館に行ってきました 1Fフロア (オタクな一口馬主)
館長庵野秀明・特撮博物館に行ってきました 地下フロア (オタクな一口馬主)
巨神兵は何故東京を破壊するのか:『巨神兵東京に現る』 (冒険野郎マクガイヤー)
特撮博物館 (自転車で痩せぬオタクブログ)
これは、特撮博物館の庵野館長の記者会見の動画です。
動画だと見る時間がない人や、面倒で見ない人もいるかと思いますが、とてもいいスピーチでしたので、それはもったいないと思い、記者会見の一部を文字起こししました。
庵野「さっき鈴木さんがおっしゃってましたけど、元々、特撮という僕が大好きだったものが、いま、正直消えつつあると。多分このまま消えると思います。これはもう仕方がないし、そういうもんだと思うんですけど。
でも、こういうものがあったっていうのは世に残しておきたいんですね。
僕がいなくなったあとも、いまの人がいなくなったあとも、いま生きている人が皆いなくなっても、これは残しておきたい。
もう可能な限り残したいんです。その願いのこれは第一歩でしかないんですよ。この先には国でも地方でも、どっかの企業でも、ちょっとお金に余裕があってこの趣旨に賛同してくれる団体があったら、常設的な特撮の展示が理想ですけど、それが無理でも特撮のミニチュアの保存とかそういうものをちゃんとやってくれる所があればなと。これはもう切にそう思っています。
ミニチュアだけではなく、いろんな技術の継承というのも続けていきたいんですけど、これはもう、僕個人の力でも如何ともし難いものなので。
ただ、特撮が持ってた映像とその面白さとその技術というものは、もっともっと世の中に残っても良いし、広がっても良いし、なんて言うんですかね、もっと好きな人がこういう所に来てくれても良いんじゃないかなと、まあ本当に思ってます。
特撮というものが、基本的にいまのやつだとCGになっちゃうんで、どうしても昭和がメインになってしまいますけど、いまの子供達が生まれる前、いまの僕らくらいの大人が子供の頃に見ていたもの。
鈴木さんくらいの団塊の世代がギリギリ味わっていた面白さみたいなものを、可能な限り、まあいろんな制約があってできないこともあるんですが、本当にできる限りのお金と時間を使って、あとは色んな想いですね。
本当に良いスタッフの方が集まってくれて、良い展示になっていってると思います。
展示内容も本当に、いまこれができるのかというくらいギュッとつまったものになってると思いますので、とにかくそこにあるものを見ていただかないと、多分その良さというのは伝わらないと思うんですよね。
こうして映像になった瞬間から、それはただの映像なので。そこにあるものじゃないんですよね。もう二次的なものですから。そういうものじゃなく、そこにあるものをまず見て欲しい。
可能な限り触れて欲しい。触れるのは色々問題なんでなかなか触れてもらえないんですけど、この(ミニチュアの)東京タワーも鈑金なんですよね。
カンカンて音がするんですよ。FRP(繊維強化プラスチック)とかじゃないんですよ。そういう面白さとかですね。
ここ(東京タワー)の下の(模型の)ビルもカンカンなんですよ。板とかじゃないんです。そういう鈑金の技術とかですね。
そういう今は失われつつあるそんな凄いものというのを、できる限り色んな人に見て欲しいと思います。
で、なんか良いなと思った人はそういうのを続けてくれれば良いなと思います。
特撮というのは国にはあまり認めてもらえてなくて、ちょっと文化庁の方にも話をしたことがあるんですけど、縁があって。
文化庁から見ればどうもこういうものはゴミらしいんですね。残す気はないと。お金は出さない。というのを言われてました。
でも現代美術館で展示するってことは、それはもう美術品ですから。これは美術品だと言い切るぐらいのハクを付けてですね、是非国のほうもこういうものを、アニメばかりじゃなくてですね、ゲームばっかりじゃなくてですね、こういう特撮、もう失われつつあるものに関しても少しは気と、お金といったものを回してほしいなと、これも切に思います」
以上です。
特撮博物館に関するオススメリンク集
(公式サイト)
東京都現代美術館 「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技
(週刊アス+PLUSの紹介記事)
リアル巨神兵が東京を襲撃!?『館長 庵野秀明 特撮博物館』開催決定【追記あり】
庵野監督が館長を務める『特撮博物館』はマジ鼻血モンだった
(特撮博物館に関する、個人のブログ記事など)
館長庵野秀明・特撮博物館に行ってきました 1Fフロア (オタクな一口馬主)
館長庵野秀明・特撮博物館に行ってきました 地下フロア (オタクな一口馬主)
巨神兵は何故東京を破壊するのか:『巨神兵東京に現る』 (冒険野郎マクガイヤー)
特撮博物館 (自転車で痩せぬオタクブログ)
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 2
前回の続きです。
東京都現代美術館 「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」の展示物の簡単な感想を展示順に。
「人造 原点Ⅰ」
まず最初の展示です。ここでは「モスラ」に出てくる東京タワーを皮切りに、ほとんど見たことも聞いたこともないような昔(1960年代、70年代)の特撮作品の、作中で使われていたマシンのミニチュアなどが展示してありました。
他にも有名なところでいうと「日本沈没」や「マグマ大使」などもありました。
ミニチュアといっても、結構大きなものも多く、その精巧さに関心させられました。模型だけでなく、作品内で使われた「劇中新聞」もあったのですが、作中でほんの一瞬しか映らないものであるにもかかわらず、広告欄やコラム欄、記事などもきちんと作られているのがわかっておもしろかったです。
メカゴジラ2のスーツも飾ってあったのですが、人が入るだけあって、自分のイメージより太り気味の体型だったのが印象的でした。
「超人 原点Ⅱ」
続いてお待ちかねのウルトラマンシリーズ関連と、1960年代、70年代の特撮ヒーロー関連の展示がありました。
ウルトラマンシリーズの展示のメインはウルトラマンや怪獣ではなくて、科特隊の乗る戦闘機やロケットなどのメカが中心です。
特撮ヒーロー関連は、自分が生まれる前のものばかりですので、リアルタイムで見たものはおろか、再放送ですら見たこともないようなものが多かったのですが、快傑ライオン丸のマスクにはショックを受けました。まさか本当にただのライオンのマスクだったとは。
その他、音声ガイドでは、特撮ヒーローのマスクの一つ一つを丁寧に解説してくれたおかげで、別に知りたくもなかった「スペクトルマン」や「シルバー仮面」などの無駄な知識がずいぶん増えました。
「力」
このコーナーでは平成「ガメラ」シリーズや映画「日本沈没」(2006)で使われた建物のミニチュアが展示されていました。
時代が比較的新しいこともあって、綺麗な状態で保存されているのですが、破壊された国会議事堂のミニチュアの迫力はすごいの一言でした。
近くまで寄っていって見ると、その凄さがなおのことわかります。「ガメラ」で使われた古い日本家屋のミニチュアも小物の一つ一つまで非常に凝っていて楽しめます。
スタジオジブリ最新特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」
ここで展示はいったん終わって、一般客にとってはメインといっても過言ではない(笑)、短編映画のコーナーになります。
映画自体は10分あるかないかのショートフィルムですが、この博物館のコンセプトにあわせてCG(コンピューターグラフィックス)を一切使っていません。
東京都内を暴れまくる巨神兵の映像表現を見ると、全て特撮で、CG無しとはにわかに信じられません。
「軌跡」
個人的にはこのコーナーが今回一番楽しかったです。「巨神兵東京に現わる」はどのようにして作られたのか、という絵コンテなどの資料やメイキング映像、実際に使われた模型などが展示してあるのですが、この数分の短編映画にどれだけ途方も無い労力と工夫がつまっているのかがよくわかります。
ビルが壊れるのも、建物の一部が熱線で溶けてしまうのも、きのこ雲がもくもくと上がっていくのも全て人力の職人技によるものなのですが、皮肉なことにその技術があまりにもすばらしいがゆえに、できあがった映像を見るとただのCGと区別がつかないんですね。
当然、似たような映像でしたらCGの方が手間もコストもかからないのですから、特撮技術が衰退していくのもむべなるかなという感じです。
「特殊美術係倉庫」「人造 原点Ⅰ」
まず最初の展示です。ここでは「モスラ」に出てくる東京タワーを皮切りに、ほとんど見たことも聞いたこともないような昔(1960年代、70年代)の特撮作品の、作中で使われていたマシンのミニチュアなどが展示してありました。
他にも有名なところでいうと「日本沈没」や「マグマ大使」などもありました。
ミニチュアといっても、結構大きなものも多く、その精巧さに関心させられました。模型だけでなく、作品内で使われた「劇中新聞」もあったのですが、作中でほんの一瞬しか映らないものであるにもかかわらず、広告欄やコラム欄、記事などもきちんと作られているのがわかっておもしろかったです。
メカゴジラ2のスーツも飾ってあったのですが、人が入るだけあって、自分のイメージより太り気味の体型だったのが印象的でした。
「超人 原点Ⅱ」
続いてお待ちかねのウルトラマンシリーズ関連と、1960年代、70年代の特撮ヒーロー関連の展示がありました。
ウルトラマンシリーズの展示のメインはウルトラマンや怪獣ではなくて、科特隊の乗る戦闘機やロケットなどのメカが中心です。
特撮ヒーロー関連は、自分が生まれる前のものばかりですので、リアルタイムで見たものはおろか、再放送ですら見たこともないようなものが多かったのですが、快傑ライオン丸のマスクにはショックを受けました。まさか本当にただのライオンのマスクだったとは。
その他、音声ガイドでは、特撮ヒーローのマスクの一つ一つを丁寧に解説してくれたおかげで、別に知りたくもなかった「スペクトルマン」や「シルバー仮面」などの無駄な知識がずいぶん増えました。
「力」
このコーナーでは平成「ガメラ」シリーズや映画「日本沈没」(2006)で使われた建物のミニチュアが展示されていました。
時代が比較的新しいこともあって、綺麗な状態で保存されているのですが、破壊された国会議事堂のミニチュアの迫力はすごいの一言でした。
近くまで寄っていって見ると、その凄さがなおのことわかります。「ガメラ」で使われた古い日本家屋のミニチュアも小物の一つ一つまで非常に凝っていて楽しめます。
スタジオジブリ最新特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」
ここで展示はいったん終わって、一般客にとってはメインといっても過言ではない(笑)、短編映画のコーナーになります。
映画自体は10分あるかないかのショートフィルムですが、この博物館のコンセプトにあわせてCG(コンピューターグラフィックス)を一切使っていません。
東京都内を暴れまくる巨神兵の映像表現を見ると、全て特撮で、CG無しとはにわかに信じられません。
「軌跡」
個人的にはこのコーナーが今回一番楽しかったです。「巨神兵東京に現わる」はどのようにして作られたのか、という絵コンテなどの資料やメイキング映像、実際に使われた模型などが展示してあるのですが、この数分の短編映画にどれだけ途方も無い労力と工夫がつまっているのかがよくわかります。
ビルが壊れるのも、建物の一部が熱線で溶けてしまうのも、きのこ雲がもくもくと上がっていくのも全て人力の職人技によるものなのですが、皮肉なことにその技術があまりにもすばらしいがゆえに、できあがった映像を見るとただのCGと区別がつかないんですね。
当然、似たような映像でしたらCGの方が手間もコストもかからないのですから、特撮技術が衰退していくのもむべなるかなという感じです。
ここから地下のフロアにうつります。
ここでは戦車やヘリコプター、電車などの模型がずらりと並んでいました。これはこれで好きな人にはたまらないと思います。他にもゴジラの大型の足や、キングギドラ、モスラの幼虫などもありました。
「特撮の父・円谷英二」
円谷英二のコーナーです。そしてここにあの「オキシジェン・デストロイヤー」の実物が飾ってありました。こんなものまで見られるとは。
「技」
ここでは主に特撮の美術係の展示がありました。
木工の技、板金の技、美術デザイン、造形師の仕事、機電(機械にとりつける電気装置)の技など、貴重な職人技の数々が紹介されています。そしてそれらが今、後継者不足に陥って絶滅の危機に瀕している現状も。
「研究」
「巨神兵東京に現わる」で実際に使われたミニチュア、綿で作られたキノコ雲、ビル壊し技術の解説や合成技術の紹介など、ついさっき見た映像の種明かしのコーナーです。
こうやって映像とそのセットを同時に見せてもらえると、普段特撮を見ない人でも特撮技術のすごさがよくわかるので、これはすごくいい企画だと思いました。
「特撮スタジオ・ミニチュアステージ」
そして最後は、フロアいっぱいをつかった巨大なミニチュアセットで、中に自由に入って写真も撮れるコーナーです。
これが終わると、あとはおみやげのコーナーです。
以上、簡単に各展示を紹介しました。
これらすばらしい展示の数々を見れば、主催者が、現在決して文化的価値を評価されているとは言いがたい特撮用のミニチュアや資料を、文化遺産として保存して後世に残したいと「特撮博物館」を企画したのもわかります(こういうものは、むしろ外国の人のほうが評価してくれそうな気がするので、海外で展示をできたらもっといいのに、とは思います)。
おそらく、これだけ好評でしたので、またこういう機会は今後もあると信じたいのですが、次はどうなるかもわかりませんので、繰り返しになりますが、少しでも興味があるなら行って損はない企画展だと思います。
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2012/08/07
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 1
この夏一番の注目物件といっても過言ではない、東京都現代美術館 「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」へ行ってきました。
この特撮博物館を一言で言えば「ゴジラやウルトラマンなどで使われる特撮(特殊撮影技術)のミニチュアや、その資料が展示してあって、スタジオジブリ最新特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」を見ることができる企画展」といったところでしょうか。
期間は、2012年7月10日(火)~10月8日(月・祝)。
休館日が月曜日(ただし、7月16日、8月13日・20日、9月17日・24日、 10月1日・8日は開館。7月17日、9月18日は休館。)で、開催時間が午前10時〜午後6時 (入場は閉館の30分前まで)となっています。
私は小学生の頃にウルトラマンシリーズを好きでよく見ていましたが、私にとって特撮とはその程度のもので、その後、特に特撮作品にハマることもなく、特撮ファンでもなんでもないのですが、そんな私でも断言できます。
少しでもこの博物館に興味があったり、おもしろそうだと思ったら、絶対行った方がいいです。
都内、関東圏在住者はもちろん、地方の人もこれを見るためだけに上京して、日帰りするだけの価値があると思います。普通に回るだけで4〜5時間退屈せずに楽しめます。じっくり見たらそれこそ半日かかります。
私はわりと美術館や博物館はジャンルを問わずいろいろ見に行く方なのですが、これだけ主催者の思い入れと情熱を感じさせられる企画展というのはちょっと他にないと感じました。
展示品の質と量、サービス精神、どれをとってもすばらしく、いったいこの途方もない展示の準備のためにどれだけの時間とお金とマンパワーをかけたのかと驚くやらあきれるやら感心するやらでした。これで入場料1400円は絶対安い。
そして、見に行く人は、絶対に音声ガイド(500円)を借りてください。
この音声ガイドもすごいです。解説件数70件、解説時間がなんと60分もあります。美術館や博物館で音声ガイドを借りたことがある人なら、この解説件数と時間がどれだけべらぼうかがわかるはずです。こんな充実したコンテンツを500円で聞けるなんて安すぎです。
これを聞けば、特撮にほとんど無知な人でも一日にしてかなりの特撮知識が身につきます(さる特撮オタクの方によれば「これを聞きながら館内を回れば、特撮検定4級くらいなら楽にクリアできる」そうです。そんなものがあれば、ですが)。
繰り返しますが、私は特撮ファンでもマニアでもなんでもありません。そんな人間でもこれだけ感動するものがこの博物館にはありました。ですので、興味さえあれば、それほど詳しくない人でも絶対楽しめると思います。
ましてや特撮ファンの方であれば、(さる特撮オタクの表現を借りれば)嫁どころか脳内嫁を質に入れててでも駆けつけるべきでしょう(とわざわざいわなくても、ファンなら絶対いくでしょうが)。
当然のことながらかなりの混雑が予想されますので、前もってチケットは買っておく、できるだけ混まない日、時間帯(開館直後、閉館間際)を狙う、などの準備はしておいたほうがいいと思います。
長くなったので、展示物に関する感想は次回に。
特撮博物館に関するオススメリンク集
(公式サイト)
東京都現代美術館 「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技
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リアル巨神兵が東京を襲撃!?『館長 庵野秀明 特撮博物館』開催決定【追記あり】
庵野監督が館長を務める『特撮博物館』はマジ鼻血モンだった
(特撮博物館に関する、個人のブログ記事など)
館長庵野秀明・特撮博物館に行ってきました 1Fフロア (オタクな一口馬主)
館長庵野秀明・特撮博物館に行ってきました 地下フロア (オタクな一口馬主)
巨神兵は何故東京を破壊するのか:『巨神兵東京に現る』 (冒険野郎マクガイヤー)
特撮博物館 (自転車で痩せぬオタクブログ)
2012/08/01
教育現場の中国語表記が今、大変なことに 明木茂夫「俗俗・地図帳の怪」
アヒオ、アヒコ「ブログを見ているみんな!こんにちは!」
「僕の名前はアヒオ。
僕たちはこれから白鳥(しらとり)先生に、僕たちがまだ知らない世の中のいろんなことを教えてもらうんだ。
白鳥先生、今日もよろしくおねがいします。今回のテーマはなんですか?」
白鳥先生「みなさん、こんにちは。カモ文化学園のマドンナこと、白鳥(しらとり)です。
アヒオ君、アヒコちゃん、今日のテーマは、なんと教育問題よ。たまには私達も真面目なテーマでお勉強しないとね。二人とも、しっかりついてきてね。
実は、日本の教育現場における中国語の地名や人名の表記が今、大変なことになってるの」
アヒコ「中国語の表記が、ですか?
でも中国語って全部漢字で、別に日本語にしてもそのまま漢字を使うだけだから、特に問題ないようにおもえるんですけれど」
白鳥先生「普通そうおもうわよね。実際、私達のころは中国語の固有名詞は漢字をそのまま使って学んでいたし、それで特に問題なかったものね。
ところが今、教科書や地図帳では、中国語の固有名詞を漢字表記ではなくカタカナ表記にしようという流れで、ちょっと変なことになっているのよ」
アヒオ「先生、先生と僕たちが「私達のころ」と同世代のようにくくられるのには違和感を感じます」
白鳥先生「アヒオ君、その発言はイエローカードよ。命が惜しかったらそれ以上踏み込まないほうが身のためよ」
アヒオ「す、すいません」
白鳥先生「まあいいわ。先生の心は琵琶湖ぐらい広いから、聞かなかったことにしておいてあげるわ。
だから本当は明木茂夫先生の「と学会」での発表の動画を見たり、著書を読んだりするのが一番いいんだけれど、そういう時間がない人もいるでしょうから、今日はここで簡単に紹介するわね」
白鳥先生「このカタカナ表記には他にも問題があって、地図帳巻末に索引があるんだけど、これがカタカナ現地音で表記してあるの。
だから例えば「桂林」という地名の場所がどこにあるのか調べたくなった時、索引を「けいりん」で引いても、でてこないの。
じゃあどうしないといけないかっていうと、「コイリン」で探さないといけないのよ。だから、あらかじめ「コイリン」という読みを知っておかないと索引が使えないのね」
アヒコ「でも、その「コイリン」っていう読み方を知るためには、地図帳で「桂林」の場所をチェックしないといけないのに、桂林の場所がわからない人はいったいどうすればいいのかしら?って話よね。まったくもって理不尽だわ。
ところで、この「桂林」が「コイリン」っていうのは、現地音表記ってことは、中国人や、中国語がわかる人にこう言ったらわかるんですか?」
アヒオ「いや、無理だね。
前にも言ったと思うけれど、中国語の発音を正確にカタカナにするのはそもそも無理なんだ。
例えば、桂林はピンイン(発音記号)で「Guìlín」と書くんだけど、これをカタカナにする時、今のところ明確なルールはないから、たとえ中国語を知っていても、これがカタカナで「コイリン」になるかどうかなんて、全くわからない。
もし僕が無理やりカタカナにするとしたら「グイリン」ってするだろうな。
だからいくらカタカナ現地音表記を覚えたって、それをそのまま中国人に言っても、彼らは何を言ってるか全くわからないだろうね。漢字で覚えておけば、それを書けば中国人にだってほぼ伝わるのにね。
でも、白鳥先生、なんでこんなことになってしまったんですか?
ひょっとして文部科学省の人って馬鹿なんですか?」
白鳥先生「アヒオ君、そんなことは思ってても言っちゃダメよ!
この国を支えている優秀な彼らのことだから、私達凡俗にはとても考えも及ばないような深い考えあっての方針なのかもしれないじゃない!」
アヒオ「そうですかねえ?」
白鳥先生「まあ、先生だって、そんなことは黄砂の砂粒ほども思っていないんだけどね!」
アヒオ「・・・・・・」
白鳥先生「それはともかく、どうしてこうなっているのかを簡単に言うと、文部科学省のカタカナ現地化音の真の目的は、「現地の人への配慮」ではなくて、「漢字廃止、漢字制限」の方針にあるみたいなの。
この方針にどういう意味があるのかよくわからないけれど、その結果がこの混乱なのよね。
もっと詳しいことは明木茂夫先生の講義や著書で説明してくれているから、興味がある人はそちらを見てちょうだいね」
アヒコ「こんな役にたたないものを覚えさせられていると、肝心の漢字表記を覚えるのがおろそかになってしまいそうで、今の学生はかわいそうね」
アヒオ「でも、ひょっとしたら将来困るのは僕らの方かもしれないよ。
この流れのまま進んで、今後、日本語の中国関係の出版物の固有名詞が全部カタカナになっちゃうっていう可能性もゼロじゃないからね。
万一そうなったら、これまで社会の中で慣用的に使われてきた漢字表記や漢字の読みと文部科学省の決めたカタカナ表記との違いに混乱必至だな」
アヒコ「そっか。これって、ひとごとでもないのね。そうなったら困るわ」
アヒオ「もちろんこれは、今後の中国関連の固有名詞をカタカナでしか知らない世代にとっても不利益なことだろうね。
彼らが将来、中国語を学んだり、過去に書かれた中国関係の文章を読む時、改めて漢字表記を学ばないといけなくなってしまって、きっと僕たち以上に苦労するだろうね。
それってかつて漢字を捨てたベトナムや朝鮮がそうなってしまったように、日本の先人がこれまで積み上げてきた漢籍や中国関連の書籍などの過去の遺産が、専門的に勉強している人以外には全く理解不能なものになりかねないわけで、大げさに言えば、日本の文化破壊じゃないかな」
白鳥先生「そうよね。アヒオ君の言うとおりよ。
こうなったら文部科学省のバ・・・、ゲフンゲフン。もとい、文部科学省の方たちに一刻も早くこの愚かな方針を改めてもらうためにも、明木茂夫先生の今後の活躍を私達も陰ながら応援していきたいわね。
なにはともあれ、私たちの生きているこの世界には、まだまだ知らないことがたくさんあるということが勉強できてよかったわね。
それじゃあ、そろそろ時間よ。ブログを見ているお友達にお別れのあいさつをしましょうか」
三羽「は〜い!それじゃあみんな、またね〜!」
(NHK教育テレビ「たんけんぼくのまち」のテーマ 作詞:山川啓介 作曲:福田和禾子)
<キャスト>
アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。
「僕の名前はアヒオ。
僕たちはこれから白鳥(しらとり)先生に、僕たちがまだ知らない世の中のいろんなことを教えてもらうんだ。
白鳥先生、今日もよろしくおねがいします。今回のテーマはなんですか?」
白鳥先生「みなさん、こんにちは。カモ文化学園のマドンナこと、白鳥(しらとり)です。
アヒオ君、アヒコちゃん、今日のテーマは、なんと教育問題よ。たまには私達も真面目なテーマでお勉強しないとね。二人とも、しっかりついてきてね。
実は、日本の教育現場における中国語の地名や人名の表記が今、大変なことになってるの」
アヒコ「中国語の表記が、ですか?
でも中国語って全部漢字で、別に日本語にしてもそのまま漢字を使うだけだから、特に問題ないようにおもえるんですけれど」
白鳥先生「普通そうおもうわよね。実際、私達のころは中国語の固有名詞は漢字をそのまま使って学んでいたし、それで特に問題なかったものね。
ところが今、教科書や地図帳では、中国語の固有名詞を漢字表記ではなくカタカナ表記にしようという流れで、ちょっと変なことになっているのよ」
アヒオ「先生、先生と僕たちが「私達のころ」と同世代のようにくくられるのには違和感を感じます」
白鳥先生「アヒオ君、その発言はイエローカードよ。命が惜しかったらそれ以上踏み込まないほうが身のためよ」
アヒオ「す、すいません」
白鳥先生「まあいいわ。先生の心は琵琶湖ぐらい広いから、聞かなかったことにしておいてあげるわ。
これについて今、問題提起しているのは、中京大学教授(中国文学)の明木(あけぎ)茂夫先生よ。
だから本当は明木茂夫先生の「と学会」での発表の動画を見たり、著書を読んだりするのが一番いいんだけれど、そういう時間がない人もいるでしょうから、今日はここで簡単に紹介するわね」
明木茂夫先生の「と学会」での発表。(2012年にも先生はこのテーマを「第21回日本トンデモ本大賞」で発表していますが、最新のものが現在視聴できないので、今回は2010年のものを紹介。8分ほどの動画です)
白鳥先生「世間のトンデモ本(とんでもない内容の本)やトンデモ物件を品評することを目的としている日本の私的団体のことよ。
「と学会」について解説しだすと話が長くなりすぎて、それだけで今回終わっちゃうので、気になったら後で自分で検索してちょうだいね」
「と学会」について解説しだすと話が長くなりすぎて、それだけで今回終わっちゃうので、気になったら後で自分で検索してちょうだいね」
白鳥先生「さすがにそこまではいっていないけれど、「と学会」で発表するということは、まあ推して知るべしよね。それじゃあいったいなにが問題なのか、それを今からいっしょに見ていきましょうか。
まず、今の学校社会科教材の地図帳の中国地名の表記がこれよ。
まず、今の学校社会科教材の地図帳の中国地名の表記がこれよ。
スーチョワン (四川)
チョンチン (重慶)
チョンツー (成都)
チャンチュン (長春)
チョンチョウ (鄭州)
コワンチョウ (広州)
こんなふうに、先に漢字があってその日本語読みをひらがなでかっこに入れて表記するのではなくて、カタカナ現地音表記がメインで、漢字表記がカッコ入りで小さく添えられているの」
例えば「遼東半島」も本によって「リヤオトン半島」だったり「リャオトン半島」だったりするのよ。
実際に地図帳を調べてみたので、紹介するわね。
二宮書店の地図帳 江西省は「チアンシー省」 香港は「ホンコン(シアンカン)」 |
帝国書院の地図帳 江西省は「チヤンシー省」 香港は「ホンコン」 |
それなら最初から漢字で覚えておけば表記のぶれの心配がないし、中国人とも漢字で話が通じるのに。
それに、香港を「シアンカン」ってなによ?そんなこといってる人、聞いたことないわ。
広東だって「カントン」でどうしてだめなのかしら。広東料理は「コワントン料理」と読むのが正しいとでもいうのかしら?」
ワンリー長城 (万里長城)
ター運河 (大運河)
ウェイ川 (渭水)
チュー川 (珠江)
オーメイ山 (峨眉山)
タイ山 (泰山)
タイ湖 (太湖)
ホワンホー(黄河)
チャンチアン (長江)
ワンリー(万里)長城。 どう考えてもカタカナはいりません。 |
こんな表記が盛り沢山よ。これをトンデモと言わずしてなんと言うという感じね」
白鳥先生「このカタカナ表記には他にも問題があって、地図帳巻末に索引があるんだけど、これがカタカナ現地音で表記してあるの。
だから例えば「桂林」という地名の場所がどこにあるのか調べたくなった時、索引を「けいりん」で引いても、でてこないの。
じゃあどうしないといけないかっていうと、「コイリン」で探さないといけないのよ。だから、あらかじめ「コイリン」という読みを知っておかないと索引が使えないのね」
アヒコ「でも、その「コイリン」っていう読み方を知るためには、地図帳で「桂林」の場所をチェックしないといけないのに、桂林の場所がわからない人はいったいどうすればいいのかしら?って話よね。まったくもって理不尽だわ。
ところで、この「桂林」が「コイリン」っていうのは、現地音表記ってことは、中国人や、中国語がわかる人にこう言ったらわかるんですか?」
アヒオ「いや、無理だね。
前にも言ったと思うけれど、中国語の発音を正確にカタカナにするのはそもそも無理なんだ。
例えば、桂林はピンイン(発音記号)で「Guìlín」と書くんだけど、これをカタカナにする時、今のところ明確なルールはないから、たとえ中国語を知っていても、これがカタカナで「コイリン」になるかどうかなんて、全くわからない。
もし僕が無理やりカタカナにするとしたら「グイリン」ってするだろうな。
だからいくらカタカナ現地音表記を覚えたって、それをそのまま中国人に言っても、彼らは何を言ってるか全くわからないだろうね。漢字で覚えておけば、それを書けば中国人にだってほぼ伝わるのにね。
でも、白鳥先生、なんでこんなことになってしまったんですか?
ひょっとして文部科学省の人って馬鹿なんですか?」
白鳥先生「アヒオ君、そんなことは思ってても言っちゃダメよ!
この国を支えている優秀な彼らのことだから、私達凡俗にはとても考えも及ばないような深い考えあっての方針なのかもしれないじゃない!」
アヒオ「そうですかねえ?」
白鳥先生「まあ、先生だって、そんなことは黄砂の砂粒ほども思っていないんだけどね!」
アヒオ「・・・・・・」
白鳥先生「それはともかく、どうしてこうなっているのかを簡単に言うと、文部科学省のカタカナ現地化音の真の目的は、「現地の人への配慮」ではなくて、「漢字廃止、漢字制限」の方針にあるみたいなの。
この方針にどういう意味があるのかよくわからないけれど、その結果がこの混乱なのよね。
もっと詳しいことは明木茂夫先生の講義や著書で説明してくれているから、興味がある人はそちらを見てちょうだいね」
アヒコ「こんな役にたたないものを覚えさせられていると、肝心の漢字表記を覚えるのがおろそかになってしまいそうで、今の学生はかわいそうね」
アヒオ「でも、ひょっとしたら将来困るのは僕らの方かもしれないよ。
この流れのまま進んで、今後、日本語の中国関係の出版物の固有名詞が全部カタカナになっちゃうっていう可能性もゼロじゃないからね。
万一そうなったら、これまで社会の中で慣用的に使われてきた漢字表記や漢字の読みと文部科学省の決めたカタカナ表記との違いに混乱必至だな」
アヒコ「そっか。これって、ひとごとでもないのね。そうなったら困るわ」
アヒオ「もちろんこれは、今後の中国関連の固有名詞をカタカナでしか知らない世代にとっても不利益なことだろうね。
彼らが将来、中国語を学んだり、過去に書かれた中国関係の文章を読む時、改めて漢字表記を学ばないといけなくなってしまって、きっと僕たち以上に苦労するだろうね。
それってかつて漢字を捨てたベトナムや朝鮮がそうなってしまったように、日本の先人がこれまで積み上げてきた漢籍や中国関連の書籍などの過去の遺産が、専門的に勉強している人以外には全く理解不能なものになりかねないわけで、大げさに言えば、日本の文化破壊じゃないかな」
白鳥先生「そうよね。アヒオ君の言うとおりよ。
こうなったら文部科学省のバ・・・、ゲフンゲフン。もとい、文部科学省の方たちに一刻も早くこの愚かな方針を改めてもらうためにも、明木茂夫先生の今後の活躍を私達も陰ながら応援していきたいわね。
なにはともあれ、私たちの生きているこの世界には、まだまだ知らないことがたくさんあるということが勉強できてよかったわね。
それじゃあ、そろそろ時間よ。ブログを見ているお友達にお別れのあいさつをしましょうか」
三羽「は〜い!それじゃあみんな、またね〜!」
しらないことが おいでおいでしてる
出かけよう くちぶえふいてさ
びっくりしようよ あららのら?
しらべてなっとく うんそうか!
おもしろ地図を ひろげよう
たんけん はっけん ぼくのまち
(NHK教育テレビ「たんけんぼくのまち」のテーマ 作詞:山川啓介 作曲:福田和禾子)
To Be Continued...
<キャスト>
アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。
アヒコ・・・アヒル系女子。好きなスイーツは牛乳プリン。
白鳥(しらとり)先生・・・スワン系アラサー女子。カモ文化学園の教師。好きな牛丼系チェーン店は松屋。
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