(投稿「貝と羊の中国人」)
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今回紹介する内田樹「増補版 街場の中国論」もそれに劣らずすばらしい本でした。
最初は正直なところ内田先生、ちょっと本が売れまくっているからって中国の専門家でもないのにいったいどんなことを知ったように書くつもりか?という気分がないでもなかったのですが、とんでもない自分の勘違いでした。
単行本だったので買うのに躊躇して、図書館で予約して何ヶ月も待って読んだのを少し後悔しました。出た時にさっさと買って読んでおけよかった。
こういう本は文庫か新書でだしてくれと声を大にして言いたいです(ベストは電子書籍なのですが)。
その前に一つ。常々このサイトにリンクするAmazonで用意されたアフェリエイトの商品画像が小さくて少し不満だったので、どうしたら大きくなるか調べてみたら、良いサービスがありました。
簡単に画像サイズが調整できて便利です(もちろんアフェリエイトも対応)。こんな感じ。
書影だけのシンプル表示なのも気に入っています。なにより簡単なのがいい。書評系のブログをしている人やAmazonアフェリエイトを使っている人は利用してみてもいいのではないでしょうか。
さて、それではこの本の紹介です。
まずタイトルに「増補版」と書いてあるように、この本は2007年に出版された「街場の中国論」の増補改訂版で、2011年3月に出ました。増補版では「増補版のための解説」に加えてまるまる三章増えているので、今から読むなら絶対こちらを読んだほうがいいです。
時間がなかったら立ち読みで「増補版のための解説」だけでも読んで欲しいぐらいの勢いでオススメです。
以下その「増補版のための解説」から一部引用
日本のメディアで語られる「嫌中国論」は読んでみると、どうも「中国は日本みたいではないからよろしくない」ということをいろいろな語法で繰り返しているだけのように見えます。
(中略)
でも、そんなこと言ってもしかたないじゃないか、というのが僕の率直な感想です。だって、違う国なんだから。違う国どころか、これからどんな国になるのか、誰も確定的な予測が立てられない国なんだから。
(引用終わり)
とかく短絡的になんでも「共産主義」と「独裁」で説明し、「中華思想」を「覇権主義」と読みかえて語られることの多い中国ですが、人口にして日本の十倍以上の国がそんなに簡単に単純化できるものではとうていないと思います。
文化的、歴史的背景を鑑みれば、中国は昔から今もかわらず中国です。それはおもしろいぐらいに。今の中国共産党の振る舞いを考える場合においても、日本や西洋諸国の常識を単純に是として違う点を欠点だとするのではなく、中国の立場や考え方、その国特有の物語や彼らなりの正義というものを理解しようとしないことには、この国の実態はなかなかみえてこないと思います。
そういう中で内田樹は
できれば、中国人が読んでも「なるほど、そうか・・・・・・」と納得できるようなもの、欲を張って言えば、「翻訳して同胞に読ませたい」と思うようなものを書きたい。
そのためには通俗的な中国論と構成を逆転させなければなりません。
繰り返しになりますが、それは「国民国家の成員たちは固有の物語の中で棲息していて、その物語に即して政策決定をしている」ことを認めた上で、「それがどういう物語であるかを想像的に再構成してみる」という作業です。
(引用終わり)
こう前書きして、中国論をすすめていきます。この「想像的に再構成した物語」がまたおもしろいのです。
というわけで続きます。
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