
今、野球の国際大会であるWBCが開催中で、日本は苦戦しながら第2ラウンドを勝ち進み、来週の月曜日にいよいよ準決勝だね!
というわけで、今日はめずらしく野球に関係のある本の紹介だ。
高橋秀実 の「「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー
」



毎年200人近くが東京大学に合格するという日本一の進学校なんだ」


でも、そんな超進学校の開成高校野球部が、平成十七年に東東京予選でなんとベスト16まで勝ち進んだんだ」

たまたま一人、天才みたいなエースで四番の選手がいたんか?高校野球やったらそれである程度はなんとかなるもんな。
それとも頭のええやつらばっかりやから、データを生かした頭脳プレイで勝ち進んだんやろうか?」

漫画とかでも敵としてよくでてくるじゃない?コンピューターを駆使した天才集団みたいなライバルが。きっとあれよ。
前もって相手のクセとか、弱点とかを研究、分析して、全部頭に入れて、相手のパターンを予測して実力不足を補ったんじゃないかしら?」

マンガやゲームなどのフィクションでは、そういう「頭はいいけれど運動神経が悪い選手ばかりのチームが、得意の頭脳プレイで戦う」っていうのが、ある種お決まりのパターンだ。
ところが、現実はまったくそうではないんだ。もちろん、「実は開成高校の生徒は頭がいいだけでなくて運動神経も抜群のスーパーマン」なんていうオチでもない。ほとんどの部員は超運動音痴だ。
この本は、そんな開成野球部が奇跡的に勝てている不思議さに著者が興味を持って取材したルポタージュなんだ」

まさか女子マネージャーが試合前に敵チームのエースを誘惑して骨抜きにするとかじゃあないやろうな?」

(過去記事)
「もし、ドラッガーを読んでも勝てないと悟った女子マネージャーが肉体を駆使したら… 」
」

それじゃあ、どうやって勝ったかの前に、開成高校野球部がどれぐらい弱いかを先に紹介するね。
まず、練習時間だけど、グラウンドが一つのため、他の部活との兼ね合いで硬式野球部が練習できるのは週一回、それも3時間ほどの練習だけなんだ」


ゴロはトンネル、フライは落とす、キャッチボールですらエラーするレベルなんだ。もちろん、軟式野球部あがりのような「下手ではない」選手もいることはいるんだけれど、基本下手なんだ。
(引用)
「エラーは開成の伝統ですから」
(中略)
「僕たちのようにエラーしまくると、相手は相当油断しますよね。油断を誘うみたいなところもあるんです」
エラーは戦略の一環らしいのである。
(引用終わり)
だから選手のポジションも「向き不向き」では決めないんだ。なにしろ「向き不向き」でいうと全員野球に不向きだからね。
で、選手のポジションを決める基準が
- ピッチャー 投げ方が安定している
- 内野手 そこそこ投げ方が安定している
- 外野手 それ以外
という風になっているんだ。
これはなぜかというと、ピッチャーがストライクゾーンにボールを投げられないと、試合が成立しないという勝負以前のマナーの問題なんだって」


なんか聞いてるとまぐれでも勝たれへんレベルやぞ。ベスト16なんていったいどんな手をつかってん!?」

それじゃあどうやって勝ったのか。その答えは「ドサクサ打線」にあったんだ」


具体的には、二番に最も打てる強打者を置いて、その次に打てる選手を一番打者、あとは順番に打てそうな選手を並べるんだ」


例えばあるイニングで、8番や9番がまぐれでもいいからヒットやフォアボールで出塁するとする。すると相手は「下位打線に打たれた」とうろたえるので、そこがチャンスだ。間髪入れずに1番からのクリーンナップで勢いをつけて大量点を取る。
そうやって激しいパンチを喰らわせて大量点を奪うイニングをつくって、そのままドサクサに紛れて勝ってしまうんだ。
いうなれば、ハイリスク・ハイリターンのギャンブルだ。
ギャンブルを仕掛けなければ勝つ確率は0%だけど、ギャンブルを仕掛ければ活路は見いだせる、という考え方だね」

それにしても大味な野球やな」

(引用)
「サインを出して、そのとおりに動くというのは練習が必要です。ウチはそんな練習やらせてあげる時間もないし、選手たちも器用じゃありませんから。バントしろと指示したってそもそもバントできないですからね。それに、サインを見るというのは一種の習慣でして、ウチの選手たちは見る習慣がないから、出しても見落とすんですよ」
(引用終わり)
だから、打線が爆発するかしないか、一発勝負だ。」


例えばね
(引用)
「大体、僕らみたいに運動神経がない人間は、他の競技だったら、その運動神経の無さがモロに出て、やりようがなかったと思うんです。でも野球は違う。野球は運動神経がないならないなりにやりようがある。投げ方にしても打ち方にしても、ちゃんと考えることでできるようになる。哲学してるみたいで楽しいんです」
(引用終わり)
ね。楽しそうだろ?」








特に運動音痴で体育が嫌いだった人や体育会系の雰囲気が苦手だった人にはオススメだ。
スポーツは運動神経がいいやつだけの特権ではなくて、本当はだれがやってもいいし、楽しいものなんだなって思えるよ」



To Be Continued...
(参考過去記事)
「もし、ドラッガーを読んでも勝てないと悟った女子マネージャーが肉体を駆使したら… 」
<キャスト>




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