ちょうど今月の5/10に最新25巻が発売予定の竹崎真美「金瓶梅」の22、23巻を、レンタルコミックで借りて読みました。
金瓶梅 (25) (まんがグリム童話) 5/10発売予定
毎回楽しみにしているお気に入りの漫画です。
電子書籍で出ていたら買ってもよかったのですが、この作品の電子書籍発行は単行本の1年遅れぐらいのペースですので、kindle版はまだ20巻までしかでていません。出版社はいまだに単行本が「主」で電子書籍は「従」だと考えているのでしょうか。漫画は場所をとるのでできるだけ電子書籍で買いたいという人も多いと思うのに、どうして単行本の発売と同時に出さないのか理解に苦しみます。
ちなみに24巻の段階で累計75万部突破とのことですので、メジャーとまではいかないまでも、そこそこ売れているようで良かったです。
相変わらず魅力的な登場人物達が、西門慶の愛やお互いの立場を巡って虚々実々の駆け引きを繰り広げてくれるので、痺れます。
原作では、登場人物の女性の中で潘金蓮が、圧倒的に強かったのですが、竹崎版はライバルの李瓶児も、潘金蓮とは全く違ったタイプの超嫌なクソ女で、しかも優秀な下女の馮(ふう)というオリジナルキャラクターがサポート役に付いているので負けていないし、正妻の呉月娘も一見大人しいけれどその本性は潘金蓮すら恐れる恐ろしい女という設定なので、いやがうえにも盛り上がります。
ここからは23巻のネタバレになってしまうのですが・・・。
23巻でとうとう西門慶と李瓶児の息子(ということになっている。竹崎版ではそこにもいろいろな事情が絡むのだが省略)の官哥(かんか)が死んでしまいます。
これは原作の展開と同じは同じなのですが、死に方が少し違います。
そして原作では官哥(かんか)の死後、李瓶児はショックですっかり元気をなくしてしまい、そのまま死んでしまい、栄華を極めた西門家もこれを境に少しずつ衰退していくことになるのですが、この竹崎版の李瓶児はそんなやわな女ではないので、今後話がどう転がっていくのか実に楽しみです。
この竹崎版は李瓶児に限らず、原作と全然違うキャラクターづけがされているキャラも多く、原作を知っているとそこらへんでも、より楽しめます。
例えば陳経済などは原作では劣化版西門慶のような人物で、ほとんどいいところなしのクズなのですが(まあ、そんなこといったらこの作品の登場人物のほとんどがクズなんですが)、竹崎版ではイケメンで頭も良く、人間性も素晴らしいキャラクターとして、影に日向に西門慶をサポートする存在になっています。
他で言うと、秋菊という潘金蓮の下女も、原作では、同じ金蓮づきの下女でも賢く美人な春梅と好対象のキャラとして、気が利かなくてグズでいつも金蓮にいじめられているという役どころなのに、竹崎版ではどんくさいのは同じながら健気で可愛い少女として金蓮にもかわいがられていて、物語の中で重要な役割を果たしたりします。
そして竹崎版のもう一つの特徴がオリジナルキャラクターの多さ。しかも物語上、重要なキャラも多く、それによって原作とほとんど別物のサイドストーリーをたくさん生み出しています。
何よりすごいのは、これだけ原作をいじっているにもかかわらず、お話はまぎれもなく金瓶梅というところです。このままうまく着地できれば、傑作になってもおかしくありません。
このペースだといったい終わるのはいつになることやら、という感じではあるのですが、原作通りでなくてもいいので、なんとか綺麗に完結して欲しいものだと思います。
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