2013/01/12

大相撲とAKB48と日本型雇用 田中秀臣「AKB48の経済学」



アヒオ「ブログを見ているみんな!こんにちは!

今日紹介する本は、田中秀臣「AKB48の経済学」だよ!





アヒコ「AKB48の経済学?

経済学の本なの?それにしてもなんでまたAKB?」


アヒオ「この本はAKB48のビジネスモデルや、それがウケた理由などを経済学的に分析して紹介する本、なんだけれど、厳密に経済学の理論を駆使したり、分析しているわけではないし、かといってAKB48のディープな話が書いてあるわけでもない。

どちらかというと、AKB48が成功した理由を経済学的視点から見ることによって、今の日本の状況を考えてみようっていう感じで、肩の力を抜いて読む雑学本の類だね。

だから経済学の本を期待して読めば、「なんだこの根拠があいまいないい加減な分析は?」ってなるかもしれないし、AKB48のファンが読めば「こことここが間違っている。著者はあんまりAKBに詳しくないんじゃないか」となるかもしれないし、ビジネス書だと考えても、なにかとつっこみどころも多いんだけれど、ボクみたいに最近AKBにちょっと興味をもって、あまりアイドル業界の話なんかを知らない人なら、著者が唱える仮説を自分でいろいろ検討しながら読んでいくと、結構おもしろい本だと思うよ。

ちょっと目次を見てみようか


  • プロローグ AKB48で日本経済がわかる
  • 第1章 不況に強いビジネスモデル
  • 第2章 デフレ不況で増殖する「心の消費」
  • 第3章 全国的に認知された「おたく市場」
  • 第4章 大相撲とAKB48と日本型雇用
  • 第5章 アイドルグループの経済分析
  • 第6章 「ローカル」か「グローバル」か
  • 第7章 アイドル高年齢化のその後──






アヒコ「あら、本当だ。デフレとか、市場とか経済学っぽいわね」

アヒオ「そうなんだ。
著者の田中秀臣っていう人は経済学者で、いやゆるリフレ派の人なんで、デフレ不況云々のあたりに関しては、著者本人の主張がだいぶ入っているから必ずしも全てそのまま鵜呑みにできないけれど、おニャン子クラブやモーニング娘。なんていう過去のアイドルグループと比較してAKBはどこが違うのか、なんてボクは全然その方面にうとかったので勉強になったし、実は他のアイドルやアイドルグループよりもむしろ宝塚歌劇とビジネスモデルが近い、というのもなるほどと思ったね。

不況期には少女グループがアイドルになるっていう仮説もなかなかおもしろい」



アヒコ「なるほどね。私は「大相撲とAKB48と日本型雇用」っていうところが気になったわ」

アヒオ「そうだね。ボクもその章が読んでいて一番おもしろかったな。

一見、なんの共通点もないように見える大相撲とAKB48なんだけれど、


  1. 個人のマネジメントと集団のマネジメントの分離という共通点
  2. 総選挙システムと番付システム
  3. 入り口の透明性、ファンとのふれあい重視
  4. 成果主義、その実態は熟練型年功序列

これらの点で、実は結構似ている部分があるんだよね。




アヒコ「どこらへんが?」

アヒオ「まず「個人のマネジメントと集団のマネジメントの分離という共通点」だけれど、

AKBのメンバーはみんなそれぞれ別々の芸能事務所に所属しているんだ。

そしてAKSというAKBの統括事務所がAKBの仕事を一括して請け負って、各メンバーに「AKB48」としての仕事を配分しているんだ。これが、力士がそれぞれ別々の相撲部屋に所属していて、相撲協会が仕事を一括で請け負って、各力士に仕事を配分しているのと仕組み上よく似ているっていうんだね。

そして「総選挙システムと番付システム」は言うまでもないよね。どちらもメンバーを透明性のあるシステムで順位づけして、露出や待遇の差を納得感のあるものにしているんだ」



アヒコ「でも、大相撲は勝敗が即番付に反映されるけれど、AKBだったら、CDを一人で何枚も買って投票する人もいるから、純粋な人気番付になっていないんじゃないかしら?」


アヒオ「うーん。でもまあ、それだけ熱狂的なファンがいる子が上位にいくという意味では、ある意味実力主義といえるんじゃないかなあ。

アヒコちゃんもいうように、AKBの総選挙システムというと「CDに総選挙の投票権を入れて、一人に何枚も同じCDを買わせる」いわゆるAKB商法の話を避けて通るわけにはいかないんだけれど、なんと本書ではこれに関して、なにもふれられていないんだ。

この本の最大の欠点はここかもしれないね。

AKBのビジネスモデルの話をする時も、そこをスルーして「お金のないオタクをターゲットにしている」って言ってるのはちょっと片手落ちだなあと思ったよ。これ抜きでAKBビジネスは語れないと思うのが普通だもんね。

閑話休題。

続けるよ。「入り口の透明性、ファンとのふれあい重視」の「入り口の透明性」っていうのは、「このオーディションを受ければ誰でもAKBになれますよ」っていう風に参入方法が明確で誰にでも門戸が開かれているっていう意味だよ。コネや路上スカウトと違ってどうすればAKBに入れるのかが誰にでも明らかだ。相撲部屋も新弟子検査を通れば力士になれると誰もが知っているという意味で入り口の透明性は高いよね。

そして「ファンとのふれあい重視」はどちらも日々の公演を重視していることからもわかるよね」



アヒコ「そうね。AKBの握手会とか、相撲の地方巡業とか見てても、どっちもテレビの露出だけじゃなくて、草の根での活動も一生懸命やっているもんね」


アヒオ「そして最後の「成果主義、その実態は熟練型年功序列」だけれど、これは意外だけれど確かに説得力はあるな、と思ったんだけれど、

どちらも結果を出せなければ首になる、という意味では厳しい成果主義なんだけれど、それだけではなくて、実は日本の会社組織と同じく年功序列的な側面もあるっていう話なんだ。

AKBの在籍年数とスキル、年齢と人気投票の順位をよくよくみてみると、実はこれらの間には相関関係があるんだ。

でも、これはよくよく考えてみれば当たり前の話で、長くいればいるほどファンもついてくるし、トークやファッション、自分の見せ方なんかのスキルも上がってくるから、それだけ人気獲得に有利に働く。つまり、ある程度年功序列的なところもあるんだ。

そしてこれは相撲でもそうで、もちろん基本は実力主義なんだけれど、一方でよほどの素質に恵まれない限り、ある程度稽古を積んで実践を重ねないとそう簡単には勝てないから、結果的に番付上位にいる力士はある程度在籍年数が高い力士が多くなる。どちらも熟練型年功序列になっているんだよね

アヒコ「なるほどねえ。AKB一つでも日本社会のいろんなしくみを語ることができるのね。

AKBは別に興味ないけれど、他の章にもなにが書いてあるのか、ちょっと気になってきたわ」

アヒオ「うん。本当はこれに加えて、AKBと日本型雇用との類似点も本書では指摘しているんだけれど、ここでは省略しておくね。これも興味があったら本書で。

最初に言ったように、AKBをほとんど知らないボクでもよくわかったし、軽く読める本だからオススメだよ」

アヒコ「うん。わかったわ。

それにしてもアヒオ君、去年、AKBのドキュメンタリー見てから、AKB関係に随分興味がでてきたのね。そのうちCDとか写真集も買っちゃうようになったりして・・・。




アヒオ「ボクもその一線は越えないように注意しているよ・・・。

でもあのドキュメンタリーを見て以来、なんとなくあまり良くない先入観があったAKBに対する見方がずいぶん変わったのは確かだね。

それじゃあ、今日はこのへんで」

二羽「それじゃあみんな、またね〜」

To Be Continued...

<キャスト>


アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。


アヒコ・・・アヒル系女子。好きなスイーツは牛乳プリン。

ガチョオ・・・ガチョウ系男子。好きなチームはガンバ大阪。

白鳥(しらとり)先生・・・スワン系アラサー女子。カモ文化学園の教師。好きな牛丼系チェーン店は松屋。

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