2012/08/14

阿佐ヶ谷ロフトA「三国志ナイト」より武将ランキングベスト15 その1

三国志ナイトオリジナルメニュー

時間がだいぶたってしまいましたが、6月6日に阿佐ヶ谷ロフトAにて実施された歴史雑誌「歴史人」編集部主催の「三国志ナイト」へ行ってきました。

出演者は三国志研究の第一人者である渡邉義浩教授、エレキコミックのやついいちろうさん、歴ドルで三国志検定1級合格の小日向えりさん、という豪華メンバーです(公式サイトより)。

3時間半にわたる長いイベントだったのですが、イベント中に、ちょうどこの日、第4回「AKB48選抜総選挙」があった裏で、この手のイベントの定番とも言える三国志人気武将ランキングの発表も行なわれました。

(ちなみにこのランキングは会場での投票ではなく、「歴史人」という雑誌の「歴史人クラブ会員(ネット会員)」100人の投票から事前に選出されたランキングです)

今回はこのランキングと、渡邉先生のコメントの一部を抜粋して紹介します(本当は、やついいちろうさんや小日向えりさんもいっしょにいろいろ話していたのを、渡邉先生のコメント部分のみ抜粋しているので、前後のつながりがおかしくなっていることもありますがご了承ください)。

せっかくですので、順位と渡邉先生のコメント(赤文字)の下に、私の個人的なコメントもつけておきます。

15位 劉備 

渡邉「僕はともかく、今の現代中国ではあんまり人気が無いです。現代中国人は前に出よう前に出ようとしているので、こういう人はあまり好かれていないです。

それほど高い評価はされていないというか、前近代の中国では理想的な君主の典型的な人物で、君主とはこうでなければいけないというお手本のような人だったんですが、今はあまり目標となるような人ではない。そんな人になっていると思いますけれどね」

以前、成君憶「水煮三国志」という三国志を元にしたビジネス本の翻訳を読んだ時、著者は曹操より劉備の方を褒めていたので、今の中国の人もそうなのかなと思っていたのですが、そうでもないんですね。




15位という順位が高いのか低いのかよくわかりませんが、もっと上にきても良かったような。

自分は曹操よりだんぜん劉備の方が好きです。

大人になって、社会のいろいろなことを知るほどに、劉備の処世術や人心掌握術、忍耐力や、不屈の精神、そして時に愚かな人間味などの凄みを実感しています。

だいたい曹操とスタート時点で条件面で雲泥の差なのを、徒手空拳で彼の対抗勢力になるところまで挽回できたのですから、すごいの一言です(加藤徹先生曰く「劉備はフリーターや派遣社員の星」だそうです)。

知れば知るほど味のある人だと思います。

14位(同率三人) 周瑜 孫策 呂蒙

周瑜

渡邉「水戦で戦うとこの人が一番強いですね。戦い方は陸と川とでは全く違うので、川なんかで戦わせると、この人が率いる丹陽兵(たんようへい)、あの辺の海沿いの水兵さん達が海での戦いに向いているんで、そこが呉の強みなんですね」

周瑜は最近の映画やドラマでもかっこよくとりあげられているので、もっと高いかな?と思ったけれどこの順位。

正史がどうあれ、彼がかっこよくて優秀であるから余計に、演義での諸葛亮の道化役がピタリとはまったんだと思います。そういう意味で演義の作者はすばらしいです。

孫策

渡邉「国内の政治をやっていく時に、(地元を)ほとんど力でふみつぶしちゃったんで。

具体的には呉っていうところと会稽ってところのこの2つが政権の基盤なんですけれど、その会稽の四姓(孔、魏、虞、謝)って孫策が根絶やしにしちゃったんですね。孫権とよくやりあっていた虞翻はその生き残りで。

戦いは強いと思いますよ、だって董卓を破っていますしね。

孫策とお父さんの孫堅は強いですね。ちょうど官渡の戦いの時、曹操の背後を襲って都を突こうとしたんですけれど、(結局その前に死んでしまって実現しなかったので)曹操としてはラッキーだったといえます。

袁術が強かったのもひとえに孫策がいたからですから。

(小覇王という呼び名について)覇王っていうのは項羽なんですね。項羽が武力だけに頼って劉邦に敗れてしまうわけで、それが「小覇王」っていうのは「小」っていうのは中国人からしたら馬鹿にしている意味で、「小覇王」っていうのは項羽にも劣る奴という意味であって、向こうの人からすると非常に評価が低いことがわかりますね」

この人ももっと上位でも不思議ではない人気の出そうなキャラですね。

でも別のイベントで加藤徹先生もおっしゃっていたのですが、大将たるもの、あまり自分が前に出て戦うようではダメだと思います。そこらへんも悪い意味で項羽に似ているのかも。

早死していなければ歴史が変わったのに、と惜しまれる人ですが、こんな性格だと遅かれ早かれ前線で命を失っていたような気がしないでもありません。

呂蒙

(渡邉先生は、特にコメント無し)

何でこの人がこの順位?とは思いますが、投票の母集団が雑誌のネット会員100人程度と決して多くはない上に偏っているので、たまにこういうことがおこるのかも知れません。わざわざ彼を選んで好きになる理由がよくわかりません。

もしかしたら呂蒙がかっこよく描かれている漫画かドラマなんかが最近あったのかな?

11位 呂布

渡邉「中国古典小説でもこの人はすごく人気で、才子佳人小説っていうんですけれど、かっこいい男性と綺麗な女性の話でよくでてくるんですよ。最近のドラマでも二人の話でひっぱるんですけれど、これは伝統なんですよね。

当時は一騎打ちっていうのはなかったんですよ。だから呂布がいくら個人で強いっていうふうにいっても、一騎打ちがないから基本的に関係ないんですけれど、彼が率いていた兵種っていうのが騎兵なんですね。

で、普通歩兵を率いている場合は率いている人が前にでて戦うことはないんですけれど、騎兵っていうのは自ら軍を率いて自分も戦うんですね。

だから圧倒的な武勇っていうのが必要になってくるんで、だから呂布の強さっていうのは赤兎にささえられているわけで、馬に乗っかっているっていうのが呂布の強さをささえるんです。

それが「人中に呂布有り、馬中に赤兎あり」っていう有名な言葉になっているだけです。だから呂布は騎兵を率いさせると圧倒的に強いです」

呂布ももっと上でも不思議ではないのですが、意外に伸びませんでしたね。それにしても一騎打ちがなかったというのは夢のない話です。

強くて、ちょっと馬鹿で節操はないけれど、一途なとてもわかりやすいキャラクターで、とても魅力的だと思います。中国人は今でも「すごく優秀だけれど、信用出来ない人間」の例えとして呂布の名前を出すことがあります。

長くなったので、次回へ続きます。

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