2012/01/07

貂蝉かわいいよ貂蝉

テレビドラマ「三国志」にでてきた貂蝉(DiaoChan)役の綺麗な女優さん、チェン・ハオについて調べてみました。

陳好(チェン・ハオ、Chén Hǎo 。1979年12月9日 - )
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B3%E5%A5%BD (ウィキペディア 日本語)
http://zh.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B3%E5%A5%BD (ウィキペディア 中国語)

ブログ(陈好和你在一起)
http://blog.sina.com.cn/chenhao

歌も歌っているみたいです。
貂蝉役で出ていた時は2008年なので20代後半か、どうりで少し(以下略)。



ちなみに中国古代四大美人というのがありまして、「西施、王昭君、貂蝉、楊貴妃」というのが定説だそうです(「西施、虞美人、卓文君、楊貴妃」というパターンもあり)。

中国の故事成語に「沈魚落雁、閉月羞花」というのがあって、沈魚が西施、落雁が王昭君、羞花が楊貴妃のことで、この中の「閉月(月が彼女の可憐さに圧倒されて雲に隠れた)」というのが貂蝉のことです。

元が小説上の架空の人物なので、どれが正しいというものでもないのですが、董卓の死後、彼女はそのまま呂布の妻となったり(三国志演義はそうなっています)、自殺したり(吉川英治の小説や横山光輝の漫画がそうであるように、これが日本人好みなのかもしれません)、本によっては呂布の死後、関羽がもらおうとしたりと作者の個性や解釈によってアレンジの仕方が様々ですので、いろいろな作家の三国志を見る時はそこに注目してみるのもおもしろいかもしれません。

参考文献:加藤徹「中国古典のスターたち」







2012/01/05

テレビドラマ「三国志」

テレビドラマ「三国志」の第一巻を借りてみた。

http://www.sangokushi-tv.com/index.html

昔からこういうのが見たかったんだよ。赤壁の戦いを扱ったダイジェストとかじゃなくて全編通した、しかも予算をケチらず、しょぼくないやつを。こういうのができるようになったのも中国の経済発展のおかげですね。

一巻は西暦189年から始まります。

光栄三国志シリーズでいうシナリオ1「打倒董卓」にあたるお馴染みの年ですね。

黄巾の乱から始まって欲しいという気もしないではないのですが、そこまでしてしまうと果てしなく長くなってしまいかねないのでいい判断だと思います。

曹操が董卓を暗殺しようとして失敗して逃亡生活を送るところまでが第一巻です。貂蝉は少し年がいきすぎているような気がしないでもありませんが、綺麗な人でした。ここは重要なので、ホッと一安心です。

一巻を見るかぎりは全体的に原作に忠実で好感がもてました。(レッドクリフのような大胆な解釈もあれはあれで好きなのですが)。

よかったので、もう少し見てみようと思いました。



2011/08/07

あなた方は神で、われわれは悪魔ですよ!

感想を一言で述べると

「21世紀の今もソビエト連邦は、そしてレーニンは生きていたんだ!」

という感じでしょうか。

「中国共産党 支配者たちの秘密の世界」
リチャード・マクレガー (著), 小谷まさ代 (翻訳)  草思社



♦(引用)2008年、バチカンとの非公式な交渉に当たっていた中国人がバチカンを訪れたさい、中国共産党とカトリック教会の不気味とも思える類似点について、こんな冗談を言った。

「中国共産党に宣伝部があるように、あなた方の教会には布教活動に熱心な人々がいます。われわれに中央組織部があるように、あなた方には枢機卿会があります」

バチカンの役人が「では、違いはどこだとお考えですか?」と尋ねると、その中国人はからからと笑いながらこう答えた。

「あなた方は神で、われわれは悪魔ですよ!」

(第一章 赤い機械 党と国家)

♦英『エコノミスト』『フィナンシャル・タイムズ』両誌の“ブック・オブ・ザ・イヤー2010”に選ばれた、最新の「中国共産党研究」です。中国共産党を理解する上で重要な内容を網羅した力作でした。

中国共産党について知ることは本当に難しい。

その徹底的な閉鎖性のために、一般の日本人がたとえ長年中国に住んでいた(あるいは住んでいる)としても、あるいはどんなに親しい中国人の友人がいても、そして現地メディアや香港メディア、ネットなどを原文でチェックしたところで、その実態を知ることはほとんど不可能なのではないかと思います。

どういう組織で、どういう歴史があって、どういう人物がいてということは調べればわかるのですが、その中の人事や意思決定の仕組み、人民解放軍と政府、民間企業と国営企業の関係などがどうしてもよくわからない。

それが、この本のおかげでようやく少しだけわかったような気がしました。

♦この本によると、中国というのは世間で言われているような「政治は社会主義で経済は資本主義」のいいとこどり(?)などではなくて、その実態はレーニンの作った旧ソ連の組織形態を忠実に受け継ぎ、人事システムを究極まで推し進めた旧ソ連以上に官僚支配が行き届いたまぎれもない共産主義国家なのです。

そして同じ共産主義国家として、崩壊したソビエトの事例を教訓として、情報統制や経済政策などを徹底的に学んでいます。

中共が民間企業や銀行に対して、いまだにここまで強い影響力を行使していたとは思いませんでした。大企業(もちろん民間の)のトップの首が国の意向で簡単にすげ替えられるなんて、ちょっと他の国ではありえません。

そうはいっても、今のところ、それがどうにかこうにかうまく機能しているのは経済発展の面をみれば明らかで、金融面でも、リーマンショックで諸外国が痛手を受けているのを尻目に、銀行の融資を厳しくコントロールしてうまく金融危機を乗り切り、その後の国際社会における中国の相対的地位を高めてしまいました。

♦(引用)中国外交のトップ、戴秉国(たいへいこく)の言葉によれば、中国の「最大の関心事は、国家の基本システムと国家の安全保障を維持すること」である。

国家の主権、領土の保全、経済発展、これらはどの国にとっても重要な課題だが、中国ではそれらが全て、党の権力保持という課題より下位に置かれているのだ。

(プロローグ)

♦中国の政治体制をわかりづらくしている理由の一つが、一党独裁でありながら、党と政府は完全に同じではないというところです。

表向きは政治は政府(国務院)が行いますが(内閣のようなもの)、裏側で実権を握っているのは「中国共産党」。基本的に政府の役職より党の序列のほうが優先されるのですが、実際には兼任している場合も多いのでややこしいです。

そして党内では常に強烈な派閥抗争があるので、中国共産党も決して一枚岩ではなくて、その時々の人事の力関係で政府の決定が右へ左へ大きく揺れているので、単純に「中国は今こう考えている」といいにくいのです。

ここらへんは昔の日本の自民党単独政権のころと似ているといえば似ていますね。ただ、軍の力も強いという点が日本とは圧倒的に違います。

組織上、党の下に位置しているはずの軍隊(人民解放軍)は、必ずしも党に絶対忠誠というわけではないために、党は常に軍の掌握にも四苦八苦しており、それがために政府も外国(含む台湾)に対して弱腰と取られるような対応がとれません。それが時として、外国から見て中国が理解しがたい行動をとることにつながっているのです。

♦もちろん中国の最大の問題点で政権のアキレス腱になりかねない官僚の腐敗についても紹介されています。

なにしろ腐敗を監視する機関の代表が党の幹部よりも役職が下なのですから、汚職の摘発なんてできるはずもありません。

我々から見たら、単純に「腐敗監視は独立した機関を設けたらいいのではないのか」と思ってしまうのですが、それでは「中国共産党が退廃的なブルジョア思想としてこれまで否定し続けてきた、モンテスキューの「三権分立」を行うことになってしまう」からできないのだそうです。これは完全に構造的な問題ですね。

♦そんなこんなで、分厚くて翻訳書なので文章も読みにくいのですが、あまりにも「共産党のそこが知りたい」というツボが次々に解説されるので、一気に(といっても一週間ぐらいかかって)読めました。

この手の中国共産党本は、反中イデオロギーに凝り固まって、なんでもかんでも悪意をもってとりあげて脅威を煽ったり、むやみに侮ってその実力を過小評価していることが多いので、これまでなかなかいい本が見つけられなかったのですが、本書は客観的な事実に基づいて公平にとりあげているので、その点でもとてもよかったです。

2011/07/21

「中国語ジャーナル」と「聴く中国語」

先日、中国語学習雑誌「聴く中国語」の8月号を買いました。

特集が「三国志 魏呉決戦の地 合肥」と「孫子の兵法書」だったのでそそられたのですが、読んでみたらどちらも期待はずれでした。

「三国志〜」は合肥の観光案内に少し三国志を絡ませた程度の内容で、「孫子の兵法書」に至っては、孫子を題材にした中国ドラマの紹介でがっかりでした。ひどい。うまく釣られてしまいました。

それはさておき、せっかくなので今日は中国語学習雑誌についてご紹介。

現在、中国語学習雑誌でメジャーなものは二誌あります。

アルク「中国語ジャーナル」と、日中通信社「聴く中国語」。それぞれ個性と癖があります。

まずはアルクの「中国語ジャーナル」


なんといっても語学出版大手のアルクだけあって、スタイリッシュで洗練された手堅い作りです。

旬の俳優や歌手などが表紙を飾り、中身も中国、台湾、香港の流行りものや中華料理のレシピ、古典や流行歌の紹介に検定試験対策などバラエティ豊かで、入門者から上級者までどのレベルの読者にも対応している間口の広い構成になっています。

文法や翻訳の解説のような教科書的コーナーのレベルも高く、決してミーハーなだけの雑誌ではありませんので、読み物としても学習教材としても楽しめる優れものです。初めて中国語学習雑誌を買う時に、どちらを買うのか迷ったら、こちらを選んでおくのが無難です。

それに対して日中通信社「聴く中国語」


表紙のデザイン、ゲストの「格」や、写真ページの紙質などぱっと見の印象でマイナー感がただよい、アルクと会社の規模の差を感じさせられます。そこらへんはページ数でカバー、と思っているのかどうかわかりませんが、中国語ジャーナルよりボリュームは少し多いです(値段はどちらもほぼ同じ)。

以前の私のイメージでは「センスの良い中国語ジャーナル」と「ダサくてマニアックな聴く中国語」だったのですが、久しぶりに買ってみると、オールカラーになっていたり、CDに加えて中国ドラマのDVDまで付けるなど中国語ジャーナルとの差別化をはかりつつも、かわいいイラストを増やし、ネット小説や中国ブログをとりあげるなど今風の内容もフォローしたりしていて、以前よりは垢抜けて取っつきやすくなっていました。

とはいえ、中身のマニアックさは健在で、中国語ジャーナルと比べて難易度が高いというわけではないのですが、記事の内容がバラエティー豊かではあるものの、扱っている対象が少しずつ王道からはずれているのが「聴く中国語」の魅力であり、短所でもあります。

例えば、今号の詩のコーナーでは、日本人受けのいい唐の杜甫や李白や白楽天ではなく南宋の李清照という渋いところを持ってきています(もちろん李清照は中国では超メジャーな人なのですが)。

「中国語ジャーナル」が「日本人にウケる内容」の視点だとしたら、「聴く中国語」は「中国人がこの雑誌を見てピンとくるか」をポイントに編集しているように感じます(もちろん勝手な想像ですが)。

私はどちらかというと「聴く中国語」派で、読むたびに「こんなマニアックな題材を丁寧に扱って、わかっているなあ。でも本当にこの雑誌、ちゃんと売れているんだろうか?」とニヤニヤしているのですが、ずいぶん昔からある雑誌ですので(創刊して9年目)、たぶんこの雑誌の読者層がそういう人たちなんでしょうね。

ただ、こちらの場合、連載は後日、「別冊 聴く中国語」というムックにテーマごとにまとめられることも多いので、わざわざ雑誌を買う必要がないのではないか、と思わせられるのが玉にキズではあります。

この2雑誌、中国語初心者なら中国語ジャーナルの方がお勧めなのですが、中級以上の人にとってはどちらも一長一短で甲乙付けがたいので、買うときは「特集が面白そうな方」を選べばいいと思います。

2011/07/12

三田村泰助「宦官 側近政治の構造」中公文庫



♦宦官とは

念の為に説明ですが、宦官とは去勢されて(あるいは自らの意思でして)、宮廷(主に後宮)に奉仕する存在です。

宦官といえばなんといっても中国が有名ですが(殷から清まで歴代王朝が使っている)、実はエジプト、ギリシア、トルコ、朝鮮やペルシアなど当時の主要先進国ではたいてい存在していて、逆に日本にいなかったのが不思議なぐらい歴史上一般的な存在です。ただ、その性質上、歴史の表舞台に現れることは少なく、出てくる時はたいてい権力を握って国を滅ぼすような特殊な場合に限られるので、普通に世界史を読んでいても「宦官」について、なかなか知る機会がありません。

本書はそんな宦官について知りたい人のために、主に中国の「漢、唐、明」王朝の宦官を中心に書かれた超ロングセラー(元となった中公新書版の初版が1963年、私の手元にある中公文庫版は2003年の改版)で、東洋史や中国史、中国文学を学ぶ人なら必ず参考文献の一つにあげられるような「宦官本」の定番です。

♦エピソードの宝庫

なんといっても現代では考えられないような特殊な風習ですので、おもしろエピソードの宝庫です。

本書では例えば去勢の方法、去勢後の処置、宦官の特徴(ヒゲがない、元々ヒゲが生えていても去勢後2,3ヶ月でなくなってしまう、声が甲高く耳障りになる、前かがみに小股で歩くなど)、実は宦官にも男女関係や夫婦関係が存在する(!)などいろいろあげられているのですが、その中でおもしろかったものを一つ紹介。

去勢して、切断された「もの」は「宝(パオ)」と呼ばれ、刀子匠(去勢する職人)が大事に保存します。そして、宦官は昇進の際に、それを返してもらうのです。なぜならこの「宝」は階級が上がるごとに見せなければいけないもので、それができないと昇進ができなくなってしまうからです。
さらに「宝」は、死後に棺桶に一緒にいれて埋葬します。これは宦官があの世に旅立つにあたって本来の男性の姿にたちかえることを望み、もし「宝」が欠けた状態であると、冥土の王様が来世に雌の騾馬にかえて出生させてしまうという迷信を強く恐れたからです。

ただ、宦官のなかにもうっかりものがいて、刀子匠に返してもらうのを忘れる人がいました。
そうした場合、「宝」は刀子匠のものになってしまいます。
そこで宦官はなんと、刀子匠から「宝」を「買ったり」、友人から「借りたり」、「賃借りしたり」して間に合わせたりするのです(もちろん死後に棺桶に入れる分も代用品はありです)。

♦中国史上有名な宦官

なにかと悪者にされがちな宦官ですが、もちろん宦官の中にも優秀な人はいて、社会の発展に大きく貢献している人もいます。

例えば「史記」の司馬遷、紙を発明した蔡倫、「三国志」でおなじみ曹操の祖父(もちろん宦官ですので血のつながりはなく、曹操の父親が宦官の養子)、「水滸伝」好きにはお馴染み宋代の童貫(これは悪い宦官ですね)、明の時代(15世紀初)大艦隊を率いて世界を航海した鄭和、など枚挙にいとまがありません。

もちろん、たいてい国が滅びるようなときには宦官がからんでくるのですが、そんな存在が中国では長い間なぜ廃止されずに中華民国建国まで残っていたのか、についても本書では触れられています。

♦最後に

中盤以降は宦官について、というよりも宦官が大きな影響力を持っていた漢、唐、明の時代の宦官、外戚、官僚(士大夫)が勢力を争う(サブタイトルにあるように)側近政治史になっていますので、宦官についてだけ知りたいという人にとってはその部分が余分に感じられるかもしれませんが、そうでなければ中国史研究としても一級品で、権力の腐敗に抗おうと制度に様々な工夫をこらしたはずの各王朝が、それでもなお、腐敗していってしまう様がよくわかっておもしろいです。

内容はやや固めですが、文章は昔の学者先生の書いた本とは思えないぐらい読みやすいので、これを読んで興味をもたれたかたは、一読をお勧めします。