2012/08/12

白岩松「岩松看日本」(中国語原書)


中国語の原書の紹介です。アマゾンでは買えないみたいです。大陸の本ですので簡体字、横書きです。

題名の意味は「岩松が日本を見る」です。そのままですね。

著者は白岩松。れっきとした中国人です。岩松というのは苗字ではなくて名前なんですね。中国中央電視台の有名なニュースキャスターみたいです。

彼のプロフィールをネットで調べてみると、彼はかなりのサッカーファンだそうで、なかでもアルゼンチンのバティストゥータ(なつかしいですね。1998年のフランスワールドカップで日本からゴールを奪った人です)の大ファンで、彼の子供を「小バティ」と呼んでいたほどだったそうですが、それは本書とは何の関係もありません。

本書の内容はそんなニュースキャスターの白岩松が、日本に長期滞在して日本のさまざまな場所を見たり、インタビューした時の様子をまとめたもので、日本人が読んでも興味深い本ではないかと思います。

奥付を見ると、初版が2007年9月となっていて、約5年前の本ですので、安倍元首相の奥さんにもインタビューしています(安倍さんって、ずいぶん昔の人みたいだけれど、たった5年前だったのか)。

他にも結構大物がインタビューに答えているので、お得感があります。

例をあげると、渡辺恒雄、渡辺淳一、村上龍、大坪文雄(パナソニックの会長)、谷村新司、栗原小巻、安倍昭恵(安倍首相夫人(当時))、浜崎あゆみ、中曽根康弘、御手洗冨士夫(当時キャノン会長)などなど。すごいメンツです。

正直、これらのインタビューはどれもお御行儀よく日中友好の話をしているだけなので、ヌルくてそれほどおもしろくないのですが、白岩松が実際に日本全国を見て回って、それに対してどのように感じたかを書いている部分はなかなか読み応えがありました。

白岩松とその一行は、靖国神社と、立命館大学国際平和ミュージアムという戦争に対する見方の両極端なところを両方訪問します。

彼らは前者を見て怒り、後者を見て日本の良心を感じて安心したりしているのですが、一応彼もジャーナリストならそういう思想の多様性が認められている日本と、そうでない中国との差について考えてもよさそうなものですが、こと戦争の話に関しては中国の公式見解そのままの反応しかしていないのは、立場上仕方ないこととはいえ興醒めでした。

それ以外の大相撲や落語、漫画やゴミの分別など日本の文化、習慣、制度について縦横に語っている政治的な部分以外は独特の視点がおもしろかったです。

例えば、漫画がここまで日本で受け入れられたのは、日本社会があまりにもストレス社会であるため、息抜きとして皆が漫画を求めたのではないか、というような説も中国人が日本人をどう見ているかがわかって興味深かったです。

なによりおもしろいのは、もっとなにげないディティールです。

例えば、この本には滞在中、晩ご飯をどこでなにを食べたかまで書いてあるのですが、ワタミや漁民などチェーン系居酒屋がやけに多かったり、帰りの空港で、おみやげを買いすぎて、重量オーバーになってチャージが航空券なみにかかりそうになって、泣く泣くもらったお米を持って帰るのを諦めたり、などなど。

中国語もそれほど難しくありませんし、日本人なら基礎知識がある状態で読めますので、初めて原書に挑戦しようという人にもオススメです。というか、私の初めて読みきった原書がこれでした。

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