2012/08/15

阿佐ヶ谷ロフトA「三国志ナイト」より武将ランキングベスト15 その2

三国志ナイトのプログラムです


前回のつづきです。

「歴史人」編集部主催の「三国志ナイト」より、三国志人気武将ランキングベスト15の10位からです。

その前にちょっと余談です。

別の三国志イベントでもちょっと気になったんですけれど、「劉備玄徳」とか「趙雲子龍」みたいに姓・名・字(あざな)を並べて「これが正式名称」みたいな感じで呼んでいる人が少なからずいました。これ、記述ならともかく、呼称としては、明確に誤りです。

詳しくはどこにでも載っていると思うので省略しますが、「劉備」のように「姓・名」か、「劉玄徳」のように「姓・字(あざな)」か、「姓・役職名」でないとおかしいです。

中国ドラマの「三国志 Three Kingdoms」でも、中国語音声で聞いたらちゃんと人間関係によってそこらへんは使い分けていますが、「姓・名・字(あざな)」で相手を呼んだりすることはないはずです。

無理やり日本で言うと、「田中将大」、「田中選手」、「田中マーくん」、「マーくん」はありでも、「田中将大マーくん」と言わないように、「三浦知良」、「三浦選手」、「三浦カズ」「カズ」はありでも「三浦知良カズ」とは言わない、みたいな感じでしょうか。

閑話休題。

それではランキングを10位より。前回同様、順位と渡邉先生のコメントの一部抜粋(赤文字)の下に、私の個人的なコメントもつけておきます。

10位 賈詡

渡邉「僕はお友達になりたくないな(笑)

ものすごい切れる人なんでしょうね頭が。

だから曹操の配下に入った後、お友達とつきあいしないんですねこの人。もともとの家臣じゃないじゃないですか、それにもかかわらず曹操の謀略っていう一番汚いところを扱いますよね。

だから自分が勝手に親しく人と仲良くなって受け入れると、かならず曹操に疑われて殺されてしまうので、もうずっとひとりぼっち。

公安担当っていう人がいて、項羽と劉邦の時には陳平っていうのがいるんですけど、あれが人格破綻者で、項羽と范増の間を裂いてってそういうことをするんですけれど、そういう担当ですよね。

だからお友達にはなりたくないし、お友達になってもくれない」

賈詡のこの順位は健闘といってもいいのではないでしょうか。私も大好きです。三国志の魅力の一つが謀略戦にあると思うのですが、まさに謀略の申し子のような人物がこの賈詡です。

司馬懿もそうなのですが、他人から恐れられ、嫌われる役回りでありながら(しかも賈詡の場合は過去に主君を何度も変えています)、最後まで君主に警戒されて殺されることもなく生を全うしたところを見ても、彼の能力の高さがうかがえると思います。

9位 荀彧

渡邉「苦しかったと思いますけどね。結構、「漢」っていうものと曹操との間で揺れ動いた人だったと思いますね。だから諸葛孔明みたいに最初からずっと漢のために生きて漢のために死んでいくのはすごく幸せだったと思うんですけど、荀彧はなんだかかわいそうで」

個人的には程昱のほうが好きですが、それはともかく。

「三国志演義」では、「二虎競食の計」や「駆虎呑狼の計」など聞いただけでもワクワクするようなかっこいい計略(しかも日常生活でも使えてとっても実用的)を曹操に献策したのがこの人。

最初はブレーンとして曹操と二人三脚でやっていたのに、最後は悲しい結末、とドラマ性も充分で人気があるのも納得です。

8位 張飛

渡邉「現在でも三国志で一番愛されているのは張飛、尊敬されているのが関羽なんですね。だから完全に役割がわかれている。(中国で)「一緒に酒を飲みたいランキング」なんていうランキングをとったことがあって、それで堂々一位に」

自分の場合、張飛は昔はそれほど好きではなかったけれど、年とともにだんだん好きになってきたキャラクターです。

「三国志演義」の方で言うと、主人公に思慮深い聖人君子タイプの劉備をおく以上、彼のような馬鹿な暴れん坊の道化もセットでおいておくのは、物語の構成上、必要不可欠なんです。

なぜかというと、劉備はどんな理不尽な目にあっても、(キャラの設定上)だまって耐えて、おとなしくしているしかないので、読んでいる方としてはストレスがたまる。そこで張飛の出番になるのです。彼が読者を代弁して大暴れするから、読者は読んでいてスカッとするんです。

(この道化キャラを配置するパターンは、「水滸伝」における、梁山泊の首領の宋江と黒旋風の李逵の関係性と似ています。こういう中国の小説に出てくる伝統的な道化(トリックスター)については、井波律子の以下の本に詳しいです)




7位 張遼

渡邉「曹操の信頼がすごい厚いんですよ。曹操の時って、軍が一万人を超えるんですけれど一軍が3200人なんですね。例えば于禁が関羽に攻められて曹操が助けに行った時、七軍を率いているんですけれど、あれで21000人なんです。

だから一万人を超える兵力っていうのを曹操が生きている間に率いていたのは夏侯さんと曹さんしかいないんですよ。で。この人だけなんですよ都督として万を超える兵力を任されてる人って。そういう意味でものすごい曹操の信頼が厚い人だし、それから後は三国志演義って魏の武将は悪く書かれるんですけれど、関羽と仲がいいっていうので良く書かれている珍しい武将ですね」

まさか張遼が7位とは。確かに強くて賢くて、冷静沈着で信用もできて頼りになりますし、ゲームで使う時は重宝するキャラではありますが、そんな人、なにがおもしろいんでしょうか?

というわけでちょっとこの順位は不満ですね。

6位 姜維

渡邉「最後がかっこいいですよね。敵と手を組んでまで最後まで戦って、結局殺されて胸を裂かれて、ものすごく肝が大きかったというのが正史に書かれていますよね」

姜維はどの本を読むかによって意見が別れやすいキャラクターなので、投票者の母集団で結構極端に順位が変わりそうですが、今回はかなり人気があったみたいです。

三国志演義やそれに比較的忠実な各種作品を見たり読んだりすれば、終盤、唯一輝いている新キャラでしたから、姜維ファンになるのもすごくわかりますし、逆に正史をかじって、ちょっと上から目線で演義のファンを批判したがるような人でしたら(嫌味な書き方ですが、こういう人、本当に多いんです)、諸葛亮とともに真っ先に批判したくなるのがこの姜維です。

あえて姜維を擁護するなら、あの時代、あの状況、彼の立場で、いったいあれ以上なにができたのか?といったところでしょうか。三国志でかっこいい死に方をしているメインキャラって、意外と少ないだけに、彼のかっこいい最期は評価したいところです。

というわけで、まだつづきます。

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