
今日は、このサイトではめずらしい実用的な本の紹介だよ。
」

で、この本なんだけれど、本の題名を見ただけで、だいたいどんな本か想像出来ちゃうわね」

そりゃあ、チェックリストは使わんより、使ったほうがミスや漏れも減るやろうし、した方がええんやろうけれど、でも実際の現場やと役に立つとわかっててもなかなか気持ちと時間に余裕がなくて、せっかく作っても、結局、使わんようになることも多いな。
めんどうくさいんよな。正直」

ガチョオ君、まさに君みたいな人にこそ、この本を読んで欲しいんだよ。確かに内容を一言で言うと、ガチョオ君の言うとおり、チェックリストの有益性を主張した本だ。
でも、これを読んだら、ガチョオ君も自分でチェックリストを作ってみたくなるかもしれないよ」


彼は最初、他の医師の影響で、業務にチェックリストを導入して試行錯誤するんだけれど、この時の経験から、他の分野でもチェックリストを使ってうまくいっている例があるのかを研究するようになったんだね。
そして、彼はチェックリストが想像以上に幅広い分野で、素人からベテランまで万人に有効らしいということを発見するんだ。
だからこの本で紹介されているチェックリストの導入例は医療分野だけでなく、建築や航空、料理に投資や災害の対応まで多岐にわたるよ」


もちろん、こういうチェックリストも単純な仕事にはとても効果的なんだけれど、この本に書かれているチェックリストはこういう「単純な仕事」のためのものだけではないんだ」


それには、なにか予想外のトラブルがあった際に、各自が知識と経験を生かした対応ができるような権限を与えておく、その代わり、コミュニケーションは確実に取らせ、責任も負わせるんだ。
具体的に言うと、例えば建築現場だと、審査官が建築物の審査の際、各項目を自分でいちいちチェックするだけではなくて、しっかりしたチェックの仕組みが整っているのかを主に見て、現場の建築者たちに「建築物が基準を満たしているのかを確認しました」という誓約書にサインをさせて、審査官と建築者に権限と責任を分散させているんだ」

確かにそうすれば複雑な仕事にもチェックリストを活用できそうだわ」

この考え方を元にうまくいった成功例と、それができずに惨憺たる結果になった失敗例が2005年、アメリカにハリケーン・カトリーナが来た後のニューオリンズ州での災害対策で対照的にあらわれて明暗を分けたんだ。
失敗例は連邦政府。
彼らは状況が刻々と変化する中、誰が権限を持つべきかという論争を延々して、いつまでたっても地元政府に権限を譲ろうとせず、ましてや民間に権限を譲るなんて考えもしなかったので、結果、情報がうまく各処へ伝わらず、決断すべきことは山のようにあったのに、決断に必要な情報は不足してしまい、政府の救援策は機能せず、市は無法地帯となってしまったんだ。
それに対して成功例がウォルマート。
社長はミーティングでこう言ったんだ「自分の持つ権限以上の決断を下さなければならない状況もたくさん発生すると思う。手元にある情報を元にベストの決断をしろ。そして何より、正しいことをしろ」と。
社長の命令はこれだけだったんだけれど、命令は各店長に伝わり、彼らはそれぞれ独自の考えでベストを尽くし、被災した人々の救助に素晴らしい活躍を見せたんだ」


やっぱり大事なのは「本当に複雑な状況、不確定要素が多い状況では、中央から全てを指示しようとすると、必ず失敗する」という教訓を活かすことが大事なんだろうね。
そして、筆者はこの教訓を元に、複雑な状況下では、チェックリストが成功に必要不可欠だ、という仮説を提唱するんだ」

さっきの建設現場のように、チェックの仕組みをチェックして、現場にも責任を分散させるっていうのもわかるけれど、それだけでは充分じゃないような気がするんだけれど?」

ある外科手術のチームでは、手術ごとに毎回チームメンバーが入れ替わるので、チームワークを向上させるためのチェック項目を導入しているんだ」


まず、「一分でいいから全員が必ず話し合うこと」
これはコミュニケーションのチェックであると同時にチームワークを高める方策なんだ。
次に「スタッフはお互いの名前を知っておくこと」あるいは「手術を開始する前にスタッフがお互いに名前と役割を紹介し合うこと」というチェック項目を作るんだ。
こういう自己紹介を前もって行うことによって、全員に話す機会を与え、その後問題点を提起したり、解決策を出しやすくなるし、当事者意識と責任感が高まって、チームワークも良くなるんだって」




これを読んで、チェックリストをどのぐらいうまく応用できるのか、ちょっとやってみたくなったな」

本自体は、ちょっと具体例が細かすぎて、正直、無駄に長いなあと思う箇所も多々あったんだけれど、巻末の「チェックリスト作成のためのチェックリスト」の表を確認するだけでも、この本を手に取る価値があると思うよ。ボクもこの表の部分だけは自分の手元に書き写しておいたぐらいだからね。
おや、そろそろ時間か。それじゃあ今日はこのへんで」



To Be Continued...
<キャスト>

アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。


