アヒコ「アヒオ君、なにを読んでそんなに感心しているの?その本、そんなにおもしろいの?」
アヒオ「うん。これは山田真哉「経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書」っていう本なんだけどね。発想がいちいち斬新で目から鱗が落ちまくりなんだよ」
アヒオ「そうだね。でもこの本は副題に「会計士が書いた」とあるように、他の清盛本とは一味違うんだ」
アヒコ「そうなの?会計士が書いたっていうからには、清盛の軍団経営かなんかのお話なのかしら。」
アヒオ「この本は一時は「平家にあらずんば人にあらず」といわれたほど繁栄を誇った平家がどうして清盛の死後、あっという間に没落してしまったかを経済的な側面から解き明かしていこうっていう試みの本なんだよ」
アヒコ「なんか難しそう。そういえば著者の山田真哉って昔「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 」って本を書いてベストセラーになった人よね。あの本は会社の儲けの仕組みを専門用語をあまり使わずに説明してくれていたので、わかりやすくてよかったけれど、この本もそんな感じなのかしら?」
アヒオ「うん。この本もテーマは歴史と経済だけれど、知らない人にもわかるように丁寧に説明してくれるので、とてもわかりやすいよ。そしてなによりおもしろいんだ。平家の衰退の謎を当時の社会情勢と経済学の常識を参照しながら少しずつ解き明かしていく展開は、さながらミステリ小説を読んでいるみたいなんだ」
アヒコ「ミステリ小説!?平清盛と歴史と会計の話から、いったいどうやったらミステリ小説みたいになるのかしら?
あ、でもそういえばこの作者、元々デビューは「女子大生会計士の事件簿」っていう会計ミステリだったぐらいだから、そういう話をつくるのは得意なのかもしれないわね」
この本を読みすすめるに従って、過去に学んだ日本史の断片的な知識がそこかしこでつながって、それまで想像もしなかった意外な真相が導きだされていくんだけれど、この快感は歴史ミステリを読んでいる時のそれそのものだね」
アヒコ「おもしろそうね。ちょっと読んでみたくなってきたわ。でも平家の没落と経済っていったいどういうつながりがあるの?」
アヒオ「アヒコちゃんは平家の没落の原因ってなんだと思う?」
アヒコ「ええと、確か平家は天下をとったあと、好き放題していたから周囲から反発をくらっちゃって、あちこちで反乱が起こって、結局源氏に負けて滅ぼされちゃったんでしょ?負けたのも平家が貴族化して、すっかり軟弱になってしまったからだったと思うけれど」
アヒオ「と、大抵の人はそう認識しているよね。でもこの本では、平家の没落は清盛の経済政策の失敗、もっと具体的に言うと貨幣経済の導入と失敗によるものだとしているんだ」
アヒコ「貨幣経済?」
アヒオ「そう。この時代、まだ貨幣経済が充分に発達していない過渡期で、物品の売買には米や織物などが使われていて、物々交換が主だったんだ。
それを清盛は貿易によって独占的に手に入れた宋の貨幣、宋銭を市場に流通させることによって貨幣経済を発達させ、経済を牛耳ろうとした。実際にその目論見はあるところまではとてもうまくいって、それが平家躍進の原動力にもなったんだけど、逆にそれが没落の原因にもなってしまった、っていうのが著者の説なわけだね」
アヒコ「え?平安時代の末期でもまだ貨幣経済って発達していなかったの?でも奈良時代に日本で貨幣ってつくられたんじゃなかったっけ?和同開珎とかなんとか。つくったけれど普及はしなかったってこと?それにわざわざ宋のお金を日本で流通させるっていうのも変よね」
アヒオ「確かに今の感覚では、貨幣経済が未発達な社会はなかなか想像しにくいかもしれないけれど、そういった疑問がこの本で少しずつ解き明かされていくんだよ。
なぜ日本製の貨幣ではなくて宋銭を普及させようとしたのか?しかも宋銭は政府非公認だったにもかかわらずだ。それに、それまでなかなか発達しなかった貨幣経済がなぜ平安末期に急速にひろまったのか、などなど」
アヒコ「ふーん。それがどうしてなのかはおいておいて、とりあえず清盛は宋銭による貨幣経済を導入することによって、平家の経済的基盤をより確かなものにした、というわけね。でも、それならどうしてそんなに経済的に成功した平家はあっさり没落しちゃったの?」
アヒオ「それが題名の「経営者・平清盛の失敗」の意味なんだ。一旦は貨幣経済の導入で莫大な富を築いた清盛は、こんどはその貨幣にしっぺ返しをくらわされて、勢力を大きく失ってしまい、それが平家の没落につながってしまった。それは「平清盛の失敗」だとこの本で著者はいっているんだね」
アヒコ「それって、どんな失敗なの?」
アヒオ「それは読んでのお楽しみ、ってことで」
<キャスト>
アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。
アヒコ・・・アヒル系女子。好きなスイーツは牛乳プリン。
<スペシャルサンクス>
富屋散言堂blog「歴史のAとBをつなぐ本」
このサイトの当該記事を読んでこの本を知り、おもしろそうだったので手にとりました。
※このアヒル同士の会話はフィクションであり、登場するアヒルなどの名称は全て架空のアヒルのものです。
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