今朝のNHK教育の日曜美術館がアンディ・ウォーホルだった(来週の夜再放送)ので思い出したのですが、先日、六本木の森美術館でやっている「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」へ行ってきました。
シンガポール、香港、上海、北京、東京とアジアを巡回している結構大規模なウォーホルの回顧展ですので、なかなか見応えがあって良かったです。
会期が5/6(火)まで。
まだ間に合いますので、興味のある方は、ものすごい混雑を覚悟の上で行ってみても良いのではないでしょうか。
「アンディ・ウォーホル」というストーリー
アンディ・ウォーホルといえば、ザ・現代アート、アメリカンポップアートの代表的作家とも言える人で、この人の場合、作品そのものもさることながら、本人のキャラクター、生き方、考え方や発言、その当時の時代背景、題材のチョイスなどなど、いろいろな要素込みで知れば知るほどおもしろくて、「芸術や現代美術はちょっと・・・」みたいな人でもとっつきやすいと思いますので、食わず嫌いをするのはもったいないです。
彼は、もともと売れっ子イラストレーターで、そこからアーティストに転身したという、そこからしてちょっと変わり種です。
1960年代、アメリカの大量生産消費の全盛期、アーティストに転向した彼は、その時代を主題にしたスープ缶などの作品を発表して有名になり、その後も有名人の似顔絵や写真、映像作品など斬新なテーマの作品を次々に生み出します。
ちなみに今回の展示会の副題の「永遠の15分」は彼の
将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう。
In the future everyone will be world-famous for 15 minutes.
という発言によります。
ネット社会やYouTubeを知っている我々からすると、驚くべき先見性としかいいようがありませんね。
というもので、本来ポスターやTシャツの印刷に使われる技法らしいです。
逆に、そういう背景を知らずに、純粋に作品だけを見ると、価値が半減してしまう、そんな作家なのだと思います。
シルクスクリーンとは
アンディ・ウォーホルの作品には「シルクスクリーン」という技法で製作されたものが結構あるのですが、展示を見ていた時、このシルクスクリーンってなんだろう?と思っていたら、日曜美術館でわかりやすく解説してくれていました。
シルクスクリーンとは
強い光をフィルムにあてる
- 強い光でフィルムに図柄や写真を転写
- すると、フィルムにインクを通すところと通さないところができる
- その上からインクを流し込む
- 版画のように同じ絵を何枚も複製できる
というもので、本来ポスターやTシャツの印刷に使われる技法らしいです。
その他展示会の見どころ
この展示では、絵画や写真、映像作品の他に、彼が海外旅行へ行った際に現地で収集した各地のパンフレットや香水やタバコ、その他さまざまな彼の私物(その中には日本の相撲雑誌や野球のグラビアなどもあります)のコーナーもあって、非常にバラエティに富んでいます。
個人的に衝撃を受けたのは、なんといっても銅の顔料をぬったキャンバスの上に、放尿して銅を酸化させた模様で抽象絵画を作った「ピス・ペインティング(小便絵画)」です。
アホすぎです。こんなの、やったのがアンディ・ウォーホルじゃなかったら、ただの子どものいたずらか、キチガイの所業です。
つまり、ストーリーの力っていうのは、そういうことなんです。耳が聞こえない被爆二世の人の作った交響曲「ヒロシマ」だから、みんな感動したのです。これが売れていない現代音楽家が、片手間で作った楽曲だと聞く人が知っていたら、だれも感動しなかったでしょう。
おばあちゃんにもらった割烹着を着た若いリケジョが、ネイチャーに大発見の論文を載せたからマスコミは大騒ぎをしたのです。これがしょぼくれた中年のおっさんの発見だったら(以下略)・・・。
もちろん、アンディ・ウォーホルは実力が本物だから、許されるわけです。当たり前ですが。
そんなこんなで楽しい展示会でした。
繰り返しますが、まだあと一ヶ月やっています。おそらく最後の一ヶ月は恐ろしい混み方をするんでしょうけれど・・・。
そして日曜美術館のアンディ・ウォーホルの回の放送も、来週再放送があります。
どちらもオススメです。
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