細野不二彦「ギャラリーフェイク」
調べてみると、1992年に連載が始まって、2005年に連載が終わっているので随分昔の漫画なのですが、私は今まで知らなくて、つい最近偶然コンビニで廉価版を売っていたのでその存在を知って、これは面白そうだと読み始めた次第。
どういう漫画かというと、題名と表紙からも想像がつくように、美術や骨董の世界をテーマにした話で、簡単に言えば手塚治虫の「ブラックジャック」の美術版。
ブラックジャック同様、基本短編の1話読み切りなので、気軽に読めます。
主人公はもぐりの医者ならぬ、贋作やレプリカ専門のアートギャラリーのオーナー。
彼は裏で世の中に出回らない貴重な美術品を扱っているので、美術界からはいかがわしくて金に汚い鼻つまみ者として嫌われているのですが、その正体は、かつてメトロポリタン美術館の凄腕キュレーター(学芸員)だったという設定。
彼が持ち前の美術知識でもって、権威主義に凝り固まった美術界の偉いさんたちの鼻を明かして、真の美とはなにかを知らしめるわけです。まさにブラックジャックですね。
「ブラックジャック」が元祖なのかどうかは知りませんが、このパターンが、料理の話になれば「ザ・シェフ」という漫画もありましたし、もしかしたらすでにあるのかもしれませんが、ゲーム業界やファッション業界、あるいはIT業界などなど、どんなニッチな業界でも、しっかり取材に手間暇かけてこの形式にのっとって作れば、おもしろいものができそうです。
この作品を読んで、改めて「ブラックジャック」のフォーマットってよくできているよなあと感じました。
単行本で全32巻、文庫でも全23巻もあり、しかも一話一話違った作品や分野の話になっているので、読むのに時間がかかります。今ようやく10巻を読み終えたところ。
これだけ話がたくさんあると、さすがにネタも続かないのか、フィクションの作家や作品の話もあって、やっぱりそういう話は、リアルなものを扱っていない分、面白さが少し落ちてしまうのですが、それは仕方のないところでしょう。
ちなみに私は今でこそ結構この分野が好きなのですが、昔は全然そんなことはなくて、学校で美術史を習った時も、つまらないなあとしか思っていなかったので、そのころにこういう漫画を読んでいたら、また違っていたのになあと思います。
というわけで、(後で知ったのですが)結構有名な作品ですので知っている人も多いとは思いますが、美術関係に興味がある人にはオススメの漫画です。
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