溝口敦「暴力団」を読みました。
この世界はあまりよく知らなかったのですが、本書は分量もそれほど多くなくて読者がほとんど知識がないことを前提に書いてくれているので、わかりやすくて良かったです。
この手の裏社会の話は、ネットだと情報量が多すぎて逆に探しにくいし、情報の信頼性を確認するのも難しいので、こういう時はやっぱり本だと思います。
暴力団の定義や収入を得る方法、どのような経緯で暴力団に入るのか、警察と暴力団のある種なあなあな関係、など暴力団に関して知りたくなるようなことはだいたいカバーしています。
海外マフィアにも一章さかれていました。日本の暴力団と海外の犯罪組織の最大の違いはその公然性であるという指摘にはなるほどと思いました。
このブログらしく、チャイナ系マフィアを紹介しておきます。
香港
組織犯罪集団の総称を「三合会(トライアド)」(メンバー二十万人強)
(主な組織)
十四K、新義安(潮州系)、和勝和、和勝義、義群、敬義、和合桃
10系列、五十六組織、
大陸、台湾
組織犯罪集団の総称を「流氓」(大陸や台湾での呼び名)
(主な組織)
竹聯幇、四海幇、芳明館、天道盟、牛埔幇、松聯
暴力的なえげつなさでいうと、台湾の流氓がナンバーワンみたいです。
チャイニーズマフィアといえば、昔読んだ馳星周の小説「不夜城」は新宿歌舞伎町の中国マフィア同士(北京系、上海系、台湾系などいりみだれて)の抗争が描かれていて面白かったです。オススメ。
話を日本の暴力団の現状に戻すと、バブル崩壊以後、不景気の影響を受けて収入が減り、暴力団にだけ適用される法律によって締め付けが厳しくなるなど、暴力団に所属するメリットは減る一方のため、若者が入ってこなくなり高齢化が進んでいるということで、日本独自の「暴力団」という形態での組織は、早晩消えゆく運命なのでしょう。
もちろんそれで単純に犯罪が減ったり治安が良くなったりすると楽観はできません。結果的に彼らが地下に潜るだけになりかねず、かえって社会が不安定にならないか心配ではあります(そして本書では暴力団に所属しない組織的な犯罪集団を「半グレ集団」として、これも一章さいて紹介しています)。
というわけで、薄いながら一通りのことは書いてあるので、興味を持たれたら本書を読んでみるといいのではないでしょうか。
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