先月、TSUTAYAで、会員証の更新をしたら、毎月一本旧作を無料で借りられるカードをもらったので、なにか夏らしいさわやかな映画を借りようと思い、横溝正史原作、市川崑監督の映画「獄門島」1977年版を借りました。
昔、深夜放送でやっていたのを見たことがあったのですが、当時、睡魔とたたかいながらぼんやり見ていたこともあり、見終わった後も細かい部分がよくわからなかった記憶があったので、いい機会だと思って借りてみました。
原作はいうまでもなく日本ミステリの大傑作で、日本ミステリのオールタイムベストのような企画をすると、必ずベスト10内に入ってくるぐらいの作品なのですが、一般的には映画の出来の差もあってか、同じ横溝正史の金田一ものでも、「犬神家の一族」や「八つ墓村」と比べると、かなり知名度や人気で水をあけられてしまった印象があります。
しかし、この「獄門島」も閉ざされたムラ社会独特の重苦しくおどろおどろしい雰囲気や、絵的に映像映えする名場面が多いという意味では、他の作品に負けてません。
もちろん金田一ものにつきものの山狩りもしっかり入っているので、山狩りマニアにもオススメです。登場人物も、ちょっと頭のネジが緩んだ三姉妹や、不気味な色白の青年、座敷牢に閉じ込められた狂人、復員兵、歌舞伎芸者などなど、今映像化しようと思うと、いろいろ配慮しないといけないことが多すぎてなにもできなくなってしまいそうな豪華な顔ぶれが異様な世界に華を添えてくれます。
原作とは犯人が少し違っていたり登場人物が端折られたりしていて、純粋なミステリとして筋書きを追って楽しむ分には、やはり原作に劣ってしまうのですが、それを補って余りある市川崑の映像美がありますので、原作ともども見て損はないと思います。
見るなら夏の今がベストです。
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