見る前からまあ、面白いだろうなあと思っていたのですが、やっぱり面白かったです。
阿部寛に古代ローマ人を演じさせたキャスティングの勝利ですね。
きっと映画を作っている人たちも楽しんで作ったんだろうなあと思わせるような、軽くて楽しい娯楽映画になっています。
私は原作を3〜4巻あたりまでしか読んでいないので、映画後半の展開が原作に忠実かどうかはわからなかったのですが、前半部に限って言えば、原作に忠実にするべきところは忠実に、そして動きと音が入るので漫画と勝手が違う部分は映像向けにうまく演出していてなかなかいいなあと思いました。
特に、主人公が古代ローマと現代日本を行き来するたびに、物語とまったく無関係なオペラ歌手が大自然をバックに朗々と歌い上げるシーンが挿入されるところのナンセンスさなんかは大好きです。
この映画、展開がいい意味でとにかく安っぽいです。
最初にナンセンスコメディー路線で映画を観る人の心をつかみ、中盤から終盤にかけてだんだんとベタなタイムスリップものにしてストーリーらしくなってきて、その間、適当に恋愛風味をまぶして、最後に勧善懲悪のまとめに入る、というすばらしく王道な展開なので、最後まで安心して観ていられました。
つねづね、アメコミの実写化映画はすごくいいのが多いのに、日本の場合、どうしてこうも残念なのものが多いのかと思っていましたので、こういうのを見ると、日本の漫画原作の実写化でも、映像表現の得手不得手をふまえて工夫すれば、ちゃんといいものが作れるではないかと、うれしくなりました。
わざわざ説明するまでもないかもしれませんが、物語はローマ帝国ハドリアヌス帝の治世の時代、ローマの浴室設計技師が、なぜか現代日本の銭湯にタイムスリップして、その洗練された日本の銭湯文化にカルチャーショックを受けるというお話です。
たぶん、本場のヨーロッパの人たちが見たら、我々が外国人が映画で描く日本や日本人を珍妙に感じるのと同じように感じるんでしょうが、それはそれで逆に味が出ていて良いと感じてくれるといいな、と思います。
見ているうちは楽しくて、終わったら後に何も残らない、そんな作品ですが、私は満足です。
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