アヒコ「この本は番組の講義内容の書籍化なの?」
アヒオ「かならずしもそうとはいえないよ。どちらもベースはシーナ教授の「選択」に関する研究なので、同じ実験結果やエピソードも多いけれど、こちらのほうが事例が豊富で、考察もよりつっこんでいるからね。
だから、講義を聞いてシーナ教授の「選択」の研究について興味を持った人は、この本を読んでより深く「選択」について知るといいんじゃないかな。もちろん、テレビを見ていない人も問題なく楽しめると思うけれどね」
アヒコ「そうなのね。でも「選択」に関する研究って具体的にはどんなものなのかしら?」
アヒオ「うん。例えば僕がアヒコちゃんの性格を透視して、占ってあげようか。
あなたは努力家だね。でもそのことは、人にはなかなかわかってもらえない。だって、全員の期待に応えるわけにはいかないから。でもここ一番というとき、あなたは全力で頑張るタイプだね
どう?当たってない?」
アヒコ「すごい! あたってるわ!・・・ってアヒオ君、私のことしっているんだから当たるに決まってるじゃない。馬鹿にしてるの?」
アヒオ「ところがこれ、別にアヒコちゃんを見て判断したんじゃなくてだれにでもあてはまることをいっているだけなんだよ。もちろん僕だってそう言われたら当たっていると思うだろう。これは予言者や占い師なんかもよく使うテクニックなんだけどね。
1,人は自分が思うほど他人と違わない
2,人が持っている自己像や理想像は、だいたい同じ
3,誰もが自分は個性的だと思い込んでいる
この性質を利用しているんだよ」
アヒコ「ええー!そうだったのね!でも、私は人じゃなくてアヒルよ?それに、それと「選択」とどう関係があるの?」
アヒオ「・・・確かにアヒルだね。するどいなアヒコちゃん。ひょっとしたらアヒルと人もみんなが思っているほど違わないのかもしれないね。
それはともかく、この性質によって、人が何かを選択する時、他人と同じにに見られたくないため、あえて、不利益な選択をしてしまったり、「自分は特別だから自分らしい選択をしている」つもりでも、実際に求めているのは「真の独自性」といえるほど極端なものではなかったりするんだ。
つまり人が選択を行う際のパターンというのは、ある程度までは研究によって予測が可能ではないかと考えられるわけだね」
アヒコ「ふうん。そんなものなのね。でも、選択肢が2つか3つならともかく、ものすごく多くなれば、それだけ人によってなにを選ぶかがバラバラに分かれて、それぞれの個性がでてきそうな気もするんだけれど」
アヒオ「それについても面白い研究結果があるんだよ。「ジャムの研究」というんだけれどね、
ジャムの試飲で24種類を試飲させた時と、6種類を試飲させた時では、6種類の時のほうが売上がアップしたんだよ。試飲に集まったお客は24種類の時のほうが多かったにもかかわらず、だ。
24種類の時は選択肢が多すぎて、お客さんもどれが自分の欲しいものなのかわからなくなって、選べなくなってしまったんだね。
人は「選択肢が多すぎると選ばなくなる」んだ。これは例えば本や音楽でも同じだと思うよ。
どれも毎月膨大な量の新作が出るけれど、よほどそのジャンルに詳しくない限り、たいていみんな、今市場にある全ての選択肢を自分で検討したりしないよね?
それじゃあどうやって選択するかっていうと、TVで紹介されているものや、ベストセラーランキングやヒットチャートなんかの上位、あるいは知り合いが褒めていたものの中から選ぶじゃない?これは意図的に「選択肢を減らす」のと同じ行為なんだ。
それによってなにがおこるかというと、一部のヒット作が、ヒットすることによってさらに多くの人によって選ばれることになって、結果的にヒットしなかった他と比べると圧倒的な差がついてしまう。
そしてその一方で、質的にそれほど劣っているわけでもない他のものが、ほとんどの人の記憶に残ることなくひっそりと市場から姿を消すことになる。
これが極端な話、もし月に5作程度しか新作がなかったら、ヒットしなかった作品だってもっとたくさんの人に選ばれて売れていたかもしれない」
アヒコ「必ずしも選択肢が多ければ多いほど、みんなが喜んでそれぞれの個性を発揮して独自の選択をするっていうわけではないのね。わかるような気がするわ。
私も初めて行くレストランでものすごい数のメニューがあっても「こんなの選べないからオススメのやつを教えてよ」っていいたくなるもんね」
アヒオ「他にもこの本では「選択」に関するいろんな分野における実験や研究がもりだくさんで、意外な視点から人間の心理や行動を知ることができておもしろいよ」
<キャスト>
アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。
アヒコ・・・アヒル系女子。好きなスイーツは牛乳プリン。
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